秋葉幸子役の小島藤子

 高度成長期の日本を舞台に、有村架純演じるヒロイン・谷田部みね子の成長物語を描いたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」。茨城から集団就職で上京したみね子が働くトランジスタ工場の先輩工員・秋葉幸子役の小島藤子と夏井優子役の八木優希が、「女子高みたいにわいわいしている」という現場での様子と役に対する思いを語った。

-オーディションに合格した時の感想を。

八木 小学生の時に出演した「おひさま」と同じ岡田惠和さんの脚本ドラマに、また出させていただけると聞いてうれしかったです。前回とは違う自分を岡田さんに見せたいと思いました。

小島 「カーネーション」で朝ドラに初出演した時、先輩たちが手取り足取り教えてくださり、初めて「お芝居が楽しい。これからもやっていきたい」と思えました。そんな朝ドラに、また参加できてうれしい反面、前回よりも自分の良さを出さなければという緊張感もありました。

-八木さんは工場の寮「乙女寮」メンバーの中では実年齢が一番下ですが、演じる優子はお姉さん的存在で、みね子の憧れの先輩ですね。役柄に不安はなかったですか。

八木 年上役は難しいかな、と最初は不安になりましたが、現場では藤子ちゃんが積極的に話し掛けてくれましたし、年下だからといって遠慮は要らないという雰囲気を皆が作ってくれたのでやりやすかったです。最近は年齢を考えず、ただただ優子をやっています。高校生になって成人の役もできるようになったので、女優を続ける上でいい勉強になっています。

-小島さんは寮長で優等生の幸子役を演じてみていかがですか。

小島 ちゃんと幸子になれているか不安です。今23歳で、架純ちゃんの次にお姉さんだから、最初はしっかりしようと思ったけど、人ってそんなに変わらないですよね(笑)。子どもっぽくて、周りも「3歳児」とか言って“お姉さん”扱いをしてくれないので、だんだん幸子も子どもっぽくなるからどうしようかと。

-役柄と自身のキャラが違うようですが、役づくりは難しかったですか。

八木 病気がちじゃないし、言いたいことは言うし、優子とは全然違うタイプですが、どういうわけかとても役に入りやすかったです。

小島 最初、幸子のイメージは「頼れるお姉さん」だったので、気持ちを作って皆を引っ張らなきゃ!と思いましたが、徐々に幸子に「しっかりしたいけど、誰かに甘えたい」みたいな部分が出てきて、自分と似ているな…って。今までの役に比べると、自分と一番性格が似ていて年齢も同じなので、気張らずに演じています。

-幸子には甘えられるはずの婚約者・高島雄大(井之脇海)がいますが、悩みも多そうですね。

小島 台本を読んだ時はかわいらしくて、幸子はそこにキュンとしていると思いましたが、実際は想像以上に駄目男。幸子はそういうところも好きだろうけど、私には分かりません(笑)。雄大よりも長く一緒にいて男気がある優子の方が“もう一人の恋人”みたいで頼りになります。

-現場の雰囲気はどうですか。

小島 女子高みたいで、大丈夫かな?というぐらいわいわいしています。架純ちゃんはほんわかしていて、そんな私たちを見守ってくれています。

八木 和久井映見さん(舎監・永井愛子役)はいつも「何しているの?」と話しかけてくれるし、どんな話題にも反応してくれるので大好きです。和久井さんになりたいです!

-乙女寮メンバーの青天目澄子役の松本穂香さん、兼平豊子役の藤野涼子さんとのエピソードはありますか。

小島 穂香ちゃんはマイペースで、涼子ちゃんは真面目なところが役と似ているし、本番で感情が入るとすごい! 澄子と豊子の小競り合いのシーンは、リハーサルではやんわりとしていたのに、本番では本気の殴り合いをするかのような勢いだったので、結構全力で止めました。澄子が暴れる時は、何かしら事件があります(笑)。でも優子も面白い。最初、優子は消え入りそうにはかなくて、皆で守っている存在だったのに、だんだん有無を言わせない裏のボスキャラのようになってきたよね。

八木 うん、キャラ変わったな…って思います。

-印象に残っているシーンを教えて下さい。

八木 初日に撮影した、時子(佐久間由衣)と豊子のけんかのシーンが好きです。台本では数ページにわたる、これがきっかけで皆が仲良くなる大事な場面です。普段は大人ぶっている豊子も本当は中学を卒業したばかりの子どもなんだ…と感じられたのも良かったです。

小島 同じです。初日に全員が手探りの中で撮影したので、打ち解けた今は「やり直したい」という話が出るし、遠慮なく演じられそう。でも、自分たちの探り探りな感じが役とリンクしていたので、やっぱり最初に撮影できて良かったと思います。

-最後に視聴者にメッセージを。

八木 今後は、工場で働くみね子が乙女寮メンバーと仲良くなって、仕事をする楽しさも知り、どんどん成長していく姿が見どころです。

小島 茨城ではグッとくる涙のシーンが多いですが、上京後の向島電機では笑いのシーンが満載です。女の子がわいわいしているところを楽しんで下さい。

(取材・文/錦怜那)