写真:渡部伸  拡大画像表示

ふたたびメインステージへ移動。この日、Mr.Children以外では唯一のBand Act、スピッツです! 90年代に数々のヒットシングルを送り出し、00年代以降それぞれ独自の道でサバイブし続けているふた組の共演が実現したこの日のステージ。しかし当のスピッツはつもどおりの涼しい顔で、数々のキラーチューンを連発します。

いや、涼しい顔に見えるのはボーカル・草野マサムネの表情だけで、演奏は非常にアグレッシブで、ラウドと言ってもいいほどのプレイも続出。エバーグリーンなメロディや歌声に加え、この「バンド感」こそがスピッツ最大の魅力だと、個人的には思ってます。セットリストもまっっったく文句のつけようがない、超ゼイタクな選曲。やれること/やるべきことを全うしきった、スピッツにしかできない最高のステージでした。

 

ここで最後のブレイクタイム。

会場の中でいちばん高い丘に登って、会場全体を見渡してみると、昔絵本で見たような、山の奥にある小さな村みたいな風景が広がります。数万人というお客さんが集まっているにもかかわらず、全然ざわざわしない、むしろとても優しい空気が流れています。

 

自分は初めての参加で、しかもひとり参加だったのですが、アウェイであるどころか、この日ものすごい「ホーム感」を感じていました。きっとこの優しい空間は、最初からこうだったんじゃなくて、これまで少しずつ積み上げられてきた経験の賜物なんだろうなあ、なんてことを思いました。

 

正直、このフェスを続けていくことは、相当大変なことだと思います。
例えばBank Bandは一回きりのステージのために、何十曲もの楽曲を練習しなければいけない。リユース食器の使用徹底だって、普通の何倍も手間がかかるでしょう。
さらに昨年からは東日本大震災の復興支援という新たな側面も加わり、考えること、やらなければならないことが、さらに多くなったはず。それは主催側だけでなく、参加者だって同じことです。
そんな、さまざまな「厳しさ」に向き合い続けながら、結果としてこんなに「優しい」フェスに育ったことのすごさとかけがえのなさを、新参者ながらじんわりと実感した時間でした。