さて漫画『喰いしん坊!』に触れてきたが、漫画内には食べる秘訣が何度も登場する。一言でまとめれば“自分のペースを守る”に尽きる。喰輪杯(クイリンピック)の勝負のひとつに三段重ねで総重量3キロのイチゴケーキが登場する。世界から集まった強豪揃いなだけあって、それぞれが自分の得意な食べ方で塔のようなケーキを攻略していく。私としてはドイツ代表、パルマー・ラインハルトの“3キロではなく、1キロ×3”の考え方に共感できそうだ(もっとも完食は到底無理)。目の前に積まれたケーキを見ると圧倒されてしまいそうだが、平たく並べられた3つを見れば、抵抗感は薄れるだろう。もちろん主人公の満太郎がしたような三角食べ(苺とクリームとスポンジを順に食べる)も一つの策だろうし、他のフードファイターが取った飲み物を利用した食べ方や、イチゴの酸味を利用した食べ方もあるだろう。
要は自分の技術と嗜好を熟知した上で、食べ物との相性を考えて食べ進めて行くのが最善となる。それでも競技となれば駆け引きも生まれてくる。自らのペースを守りつつ他のペースを崩せれば、優位に競技を進められることができるだろう。これは一般の大食い対決でも、喰いワングランプリでも、喰輪杯(クイリンピック)でも同じことだ。満太郎に限らず、TFFやOKFFのフードファイターも世界の強豪達も、ペースを崩したものは、あっけなく勝負に敗れている。ただこれはフードファイトの世界だけでなく、どの勝負にも言えることではないだろうか。
他にも漫画内で出てくる食べるための要点を挙げてみよう。
・胃袋を大きくしておく(直前の絶食などは逆効果)
・水分の取りすぎに注意
・調味料や香辛料で味に変化をつける
・食べやすい温度、味わいやすい状態を維持する
日本では、岩手県の花巻市や盛岡市で行われるわんこそばの大食い大会や、六代目文枝を襲名した元桂三枝師匠が毎年の司会を務める京都の「順正ゆどうふ食べくらべ大会」がある。世界に目を向ければ、日本人の小林尊氏が連覇したことでニュースになったニューヨークの「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」が有名だろう。食べ散らかすような行儀の悪いことは別として、たくさん食べるのは良いと思われることが多く、好き嫌いなく食べる人のことを健啖家(けんたんか)とも表現する。先にグレーゾーンもあると書いたが、正道喰いでたくさん食べるのは、見ている人にもある種の爽快感を与えることになるだろう。
「○○さんって、すごくおいしそうに食べるね。ご馳走させて」となれば良し、そして男性なら「○○さんに私の作ったご飯を食べて欲しくて」と結婚相手をゲットできれば言うこと無しだろう。ただしそれこそ漫画ならともかく、現実には難しいかもしれないが。
投票受付中!
関連リサーチ
食べ放題、行くなら誰と行く? [ https://ure.pia.co.jp/articles/-/7726 ]