■本編と外伝、メディアミックスで広がる『刃牙』の世界

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『刃牙』シリーズは長期連載&人気作ということで、その全容を把握するだけでもひと苦労だ。ここでは本編、外伝/スピンオフ、メディアミックスの3つに分けておさらいしたい。

【本編】
第1シリーズ『グラップラー刃牙』 全42巻
第2シリーズ『バキ』 全31巻
第3シリーズ『範馬刃牙』 35巻まで発売

上記の3タイトルが『刃牙』のメインストーリー。タイトルが変わるごとに巻数もリセットされているが、純粋な続き物として読んでいい。これだけで108巻という大ボリュームだ。

『グラップラー刃牙』が全ストーリーのキモとなる部分で、刃牙の生い立ちから修行、母との別れ、父を倒す決意など主要シーンがすべて収録されている。続く『バキ』で格闘家の枠を超えた最凶死刑囚、さらに四千年の歴史を誇る中国拳法とも戦い、刃牙は強さと自信を深めていく。『範馬刃牙』は父との決着を付ける最終章で、まもなくチャンピオン本誌でクライマックスを迎える。ざっくりとメインストーリーを把握したいなら『グラップラー刃牙』の20巻までと、『範馬刃牙』の23巻以降だけ読めばいい(それ以外の70巻あまりが不要というわけではないが……)。

【外伝/スピンオフ】
グラップラー刃牙外伝』 全1巻
バキ特別編 SAGA』 全1巻
範馬刃牙外伝 ピクル』 全1巻
バキ外伝疵面(スカーフェース)』 全5巻で中断(作画:山内雪奈生)

このように外伝、スピンオフ作も多い。『グラップラー刃牙外伝』は作中に出てきた強豪プロレスラー2名、マウント斗羽vsアントニオ猪狩が激突するエピソード。両者のリングネームから分かるとおり「故・ジャイアント馬場とアントニオ猪木がもし戦ったら?」という作者なりのIFストーリーだ。

『バキ特別編 SAGA』は第2シリーズ『バキ』の15巻と16巻の間に入るエピソードで、漫画史に残る問題作。主人公の刃牙とヒロインの梢が濃厚な性行為を繰り広げる話だ。内容が内容だけに少年チャンピオンではなく青年誌のヤングチャンピオンに掲載された。性行為を格闘に見立て、快感を「ダメージ」と表現する感性はまさに板垣スタイルの真骨頂! あまりにブッ飛んだ描写のため、筋金入りの刃牙ファンでも「あれだけは別格」「軽くトラウマになった」などと感想を漏らす者が多い。

『範馬刃牙外伝 ピクル』は最終章『範馬刃牙』10巻と11巻の間に入るエピソード。太古の昔から蘇った超人・ピクルをめぐって右往左往する人類を描く。連載当初は刃牙シリーズと無関係のように思われたが、結局は本編とリンクして、刃牙たち格闘家が“人類最古の戦士”ピクルに挑む展開となった。

『バキ外伝疵面』は作中の人気キャラ・花山薫を主人公にした公式スピンオフ。原作を板垣恵介が勤め、山内雪奈生が作画を担当した。ある程度は本編とリンクしているが、こちらだけのオリジナルキャラも多く、花山の魅力にスポットを当てている。理由不詳のままいったん連載が中断し、現在はタイトルを変えた『バキ外伝創面』が連載中。