そして、木村文乃がドラマに初めて出演したのは、映画『アダン』と同じ2006年に放送された、司馬遼太郎原作、大石静脚本のNHK大河ドラマ『功名が辻』だった。上川隆也と仲間由紀恵が山内一豊・千代夫妻を演じたこの大河は、平均視聴率20.9%(ビデオリサーチ社調べ・関東地区)とヒットしたので、見ていた人も多いのではないだろうか。木村文乃の出演シーンをくわしく説明するので、ぜひ思い出して欲しい。 

桶狭間の戦いの直前に出会った山内一豊(上川隆也)と千代(仲間由紀恵)は、なんやかんやあって結婚し、2人で一国一城の主になることを夢見るようになっていた。その後、一豊は、織田信長(舘ひろし)、豊臣秀吉(柄本明)に仕えながら地道に出世。で、またなんやかんやあって、結局、関が原の戦いでは徳川家康(西田敏行)の東軍につき、勝利を収めた。この時の功績が認められて与えられたのが、土佐二十万石だった。ついに一豊は、一国一城の主になったのである。ところが、土佐には前の領主、長宗我部家を慕う一領具足が多くいて、一豊たちの入城を許さなかった。一領具足というのは、ふだんは田畑を耕しているが、年貢を納める義務はなく、戦のときは前線で戦う軍事専門の家臣のこと。先発隊として土佐に入ろうとした一豊の弟・康豊(玉木宏)に向かって、浜辺から発砲したりする荒くれ者たちだった。それでも、家康から土佐の平定を急がされた一豊は、強引に土佐に入城。その時、千代が突然、銃撃されてしまう。この千代や康豊を火縄銃で撃ったのが、奥宮弥兵衛(渡辺哲)という一領具足で、その隣にいた娘が木村文乃だ。……思い出した?

まあ、全49話のうち、最後のほうの46話と47話にしか出てこないので、思い出せなくても仕方がないか。キャストロールにも「奥宮の娘 木村文乃」と書かれているだけで、役名はない。父親の弥兵衛は結局、一豊たちに捕まり、はりつけにされてしまうのだが、木村文乃のセリフもその際に仲間たちに言う「おとうがつかまったきに!」の一言だけだった。でも、納屋に逃げ込んだ一豊たちに木村文乃が火縄銃をぶっ放すシーンもあるし、毛皮を羽織ったようなワイルドな衣装もちょっとセクシーだったりするので、機会があったらDVDで確認して欲しい。