その後、木村文乃はしばらく低迷するが、2010年に小栗旬や田中圭、綾野剛なども所属する現在の事務所に移籍して、またドラマに端役から出演するようになった。たとえば、松本潤と竹内結子が共演した2010年7~9月期の月9『夏の恋は虹色に輝く』の第4話。このドラマは、二世俳優の楠大雅(松本潤)とシングルマザーである北村詩織(竹内結子)のラブストーリーで、第4話では、大雅の親友で同じ二世俳優の慶太(笠原秀幸)が仕切る「第15回われらが二世俳優飲み会」が行われるシーンがあった。かなりの人数が集まった、飲み会というよりパーティーのようなシーンだったが、その中のユキという二世女優を演じていたのが木村文乃だった。中野裕太が演じた隼人という名の二世俳優もいて、彼が国立劇場での舞台が決まったと自慢する場面で、木村文乃が「すごーい、さすが隼人くん」というセリフを言っている。

その次のクール、2010年10~12月期に放送されたフジ系日曜9時の『パーフェクト・リポート』にも、木村文乃は第4話で出てくる。松雪泰子が主演したこのドラマは、落ちこぼれの記者ばかりが集まったテレビ局の遊軍取材班にスポットを当てた内容で、毎回さまざまな事件を扱っていた。第4話は、誤って駅のホームから線路に落ちた女性を助けたにも関わらず、すぐにその場から立ち去ってしまった若い女性を探すところから始まるストーリー。その若い女性は、靴を片方だけ現場に残していったのだが、テレビの報道を見た靴屋の店員が、それらしき女性が靴を買いに来たとテレビ局に申し出てきた。その店員を演じていたのが、木村文乃だ。

じつは、この遊軍取材班のサブキャップ・赤坂を演じていたのは、現在、NHKの『梅ちゃん先生』で恋仲になっている小出恵介。こんなところですでに2人は共演していたのだが、残念ながらこの『パーフェクト・リポート』での木村文乃は、役名もないただの店員役だったので、サブキャップ役である小出恵介との絡みはなかった。

翌2011年7~9月期のTBS系日曜劇場『華和家の四姉妹』では、第1話のメインゲストとして登場している。柴門ふみ原作のホームドラマで、四姉妹を演じたのは、観月ありさ、吉瀬美智子、貫地谷しほり、川島海荷。第1話は、主人公の竹美(観月ありさ)が、三女の桜子(貫地谷しほり)が務める会社に派遣社員として働きに行き、そこで騒動を巻き起こすという内容だった。その会社の受付嬢・相本を演じていたのが木村文乃。上司にセクハラを受けていたにも関わらず、優柔不断な態度をとっていたため、窮地に追い込まれるというストーリーだったが、最終的には竹美に助けられ、相本(木村文乃)も社会人として成長していくという結末だった。このドラマでの木村文乃は、真面目でおとなしい派遣社員役だったが、そんなキャラクターもまったく違和感がなかった。骨格や目にきつい印象があるわけではないので、こういう温和な役をやっても、しっかりハマるのだ。