【ピンクプリキュア3世代対談】『映画プリキュア』を通して、受け取ってもらいたいメッセージ

プリキュアを通して見えて来た自分の可能性

―改めて、プリキュアを演じた経験がどんな財産になっていますか？

引坂：プリキュアという作品を通して感じたのが、シナリオの素晴らしさですね。

「HUGプリ」はシナリオに引っ張って頂いた部分がかなりあったと思っています。

物語というものは私たち（役者）、そして視聴者の皆さんに力を与えてくれるものだと感じましたし、そこから自分でも物語が書けないかな？という考えに至りました。

書く事で監督さんや脚本家さんの考えを理解したいと思ったんです。

文章を書く方の気持ちになったら、演じるときになにか反映できるんじゃないか、とか。その為にも物語を考えようという意識になったんです。…とは言っても、結局まだ書けてはいないんですけどね(笑)。

成瀬：なんでもできる！なんでもできる！絶対にいいと思います！

引坂：シナリオ関連のワークショップに行ってみたりもしました（笑）。

書く時に自分だったらどう考えるかな、という捉え方が出来たのは自分にとっては収穫だったと思っています。

「HUGプリ」で濃い時間を過ごしたからこそ物事の見方を変えてみよう、と思えたので、自分の中での大きな変化だと思います。

―プリキュアが色々な事にチャレンジする姿に影響された部分もありますか？

引坂：声の仕事もそうですし、声の仕事以外でも、もしかしたら、自分にも何か可能性があるのでは？と思わせてくれたのはプリキュアだと思います。

成瀬：私はアニメの見方がまるで変りましたね。

元々すごくアニメファンでいろんな作品を見ているんですけど、このワンシーンの向こうには、色んな情熱があって、熱くなってる声優さんやスタッフさんがいるんだっていうことを考え始めたら、どの作品をみても涙が出ます。

スタッフロールも細かく見るようになりましたね。アニメの見方がガラッと変わりましたね。

―モノづくりの楽しさを感じましたか？

成瀬：感じました。プリキュアの声優のお仕事をさせていただいて、声優さんって声を当てるだけじゃないんだなって知りました。

例えばインタビューもそうですよね。作品の良さを理解して人に伝える事。

今出来ているかわかんないんですけど、うまく伝わるようかみ砕いて頑張っている最中です。

あとは何ができるかすごく探して、絵を描いている作画の方々の後ろで応援。

東映アニメーションさんの中に入れていただいて、作画さんを応援するという経験もしました（笑）。出来る事がたくさんあるんだなと思いました！

悠木：どの作品でも、オーディションを受けて合格してというプロセスがあるんですけど、それって自分の表現を肯定してもらう事だと思うんです。

実はグレースというキャラクターが自分の引き出しの中にそんなに素材がないキャラクターで、自分からすごく遠いからこそ俯瞰で見られるというキャラなんです。

だから合格をいただいた時の「これでいいんだ」というありがたさはすごく感じました。

この方向性のキャラクターをやったことがないわけではなかったんですけど、自信がなかったんです。

私基本的にちっちゃくて強いキャラクター多いんで（笑）、グレースのような優しいキャラあまりないんです。

この子のことを一年かけて知られるという事がまずすごく嬉しかったし、多分グレースから得られる事ってたくさんある。

どんどん出来上がっていくグレースを楽しんでいこうと思いますし、それによってまた更に進める未来があると考えています。

何よりこんなに先輩たちが楽しんでいるし、「生きてるって感じ！」です。

―悠木さん、2020年のプリキュアにキャスティングされた際の心境とオンエア後の率直な感想を教えてください。

悠木：キャスティングされた時は私で本当にいいのというのがすごく大きかったです。

アニメのキャラクターなんてデフォルメされているから確実に私よりも自分よりも秀でてるんですよ（笑）。

プリキュアっていうのはみんなの憧れでもあるし、周りの期待値も高い。

そういった中でどういう風に取り組もうかなというドキドキはありつつ、自分を肯定された喜びは大きな感情としてありました。

色んな作品が放送される時に確認するんですけど、一話から泣いちゃったのって久しぶりです（笑）。

もちろん丁寧に作られている絵や曲、ストーリーの良さと言うのはあるんですけど「私の声がプリキュアからする！」というのが一番感動しました（笑）。

親が泣いてました。

―改めてご自身にとって『プリキュア』とは？

成瀬：プリキュアって等身大の女の子なんですけど、究極のヒーローであってヒロインであって、私達も目指すものだと思います。

引坂：闘う女の子っていうところに女子は憧れると思います。

守られるだけじゃない、自分の大事なものを守る存在でありたい。そういう想いの象徴ですよね。

プリキュアにはいろんなキャラクターがいていろんな要素があるので、誰かに必ず共通点を感じるところがあるかと思います。

あの子もなれるなら私も、というように思っていただければ幸いです。