世間には本当にたくさんの種類の缶コーヒーが売られている。これだけ種類があって、さらに毎月のように次々と新商品が発売される飲み物は、ちょっと他には見当たらない。そう、缶コーヒーはもはや“国民飲料”と呼んでも差し支えないほどの存在になっているのだ。

このコーナーでは、そんな多種多様な缶コーヒーを、研究員の独断と偏見でレビューしていく。このレポートが、少しでも皆さんの缶コーヒーライフのお役に立てれば幸いだ。


今週のテーマ「月曜朝のけだるさを吹き飛ばすブラック缶コーヒー」

ブランド:トーヨビバレッジ
商品名:ラクカフェ BLACK無糖
















一口飲むと、水出しコーヒーのようなまろやかですっきりしたコーヒー感が口いっぱいに広がり、さらに一瞬おいてから渋みと苦味が追いついてくる二層の味わい。えぐみはまったくなく、キリッとしたコーヒーらしさあふれるザ・ブラックコーヒーだ。ブラジル・モンテアレグレ農園の完熟豆を51%使用しているとのことで、この奥深い味はそこからきているものだろうか。ブラジルといえば思い出すのはラモス瑠偉。ブラジル仕込みのテクニックと、日本サッカーへの熱い思い。心技体を兼ね備えた偉大なサッカー選手と同じように、この「ラクカフェ BLACK無糖」もブラック缶コーヒーとしての要素をすべて過不足なく備えている。

【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 3
たんぱく質(g) 0.2
脂質(g) 0
炭水化物(g) 0.6
ナトリウム(mg) 33
糖類(g) 0


コク★☆☆☆☆
キレ★★★★☆
香り★★★☆☆
甘味☆☆☆☆☆
苦味★☆☆☆☆



ブランド:KIRIN
商品名:FIRE 挽きたてBLACK








 




やや強めの酸味がコーヒー感を引き立てる新豆100%ならではのブラック缶コーヒー。パンチの利いた苦味が、月曜朝の気だるい体をシャキッと目覚めさせてくれるだろう。その反面、混じり気のないストレートな味なので、カフェオレなどを好む人に取ってはやや口当たりが直球すぎるかもしれない。清々しいまでに潔く、一切のよそ見をせずにコーヒー道を突き進むその姿勢は、外野から何を言われようともマイペースに己を鍛え、結果を出すことで世間の期待に応えるイチロー選手を彷彿とさせる。あらゆる成分がほぼゼロという、これ以上ないレベルのストイックなコーヒー「FIRE 挽きたてBLACK」は、先週までの落ち込んだ気持ちを切り替えて新しい一週間をスタートするのにぴったりの味わいだ。

【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 0
たんぱく質(g) 0
脂質(g) 0
炭水化物(g) 0~1
ナトリウム(mg) 18
糖類(g) 0



コク☆☆☆☆☆
キレ★★★★★
香り★★☆☆☆
甘味☆☆☆☆☆
苦味★★★★☆


ブランド:コカ・コーラ
商品名:illy エスプレッソ(ブラック無糖)














 

他のブラック缶コーヒーとは一線を画す濃厚さと、後を引く風味が独特のハーモニーを奏でるブラック無糖缶コーヒー。エスプレッソならではの凝縮された酸味と苦味が持つ深い味わいは、もはや缶コーヒーのレベルを超えているとすら思えるほど。内容量は通常よりも若干少なめだが、満足感は十分に得られるだろう。ただし舌触りや香りにややクセがあるため、万人向けとは言い難く、好き嫌いの分かれる味ではある。小さいボディにこれだけの複雑な味を詰め込んだその存在感は、言うなれば缶コーヒー界の舞の海だ。「技のデパート」ならぬ「味のデパート」を楽しみながら、いつもと一味違う月曜の朝を迎えてみてはいかがだろう。

【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 7
たんぱく質(g) 0
脂質(g) 0
炭水化物(g) 1.8
ナトリウム(mg) 42
糖類(g) 0



コク★★☆☆☆
キレ★★☆☆☆
香り★★★☆☆
甘味☆☆☆☆☆
苦味★★★★☆

 

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ