『ソウルフル・ワールド』ディズニープラスで配信中 © 2020 Disney/Pixar

今この瞬間が愛おしくてたまらなくなる、ディズニー/ピクサー最新作『ソウルフル・ワールド』レビュー。

今だからこそ受け取りたい、シンプルで温かいメッセージとは?

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ジャズ・ピアニストへの夢が叶う直前、不慮の事故で魂(ソウル)の世界へ迷い込んだ、音楽教師のジョー。

生きる目的を見つけられない、迷える魂の22番と出会い、人生のきらめきを取り戻す旅へと出発します。

何としても地上へ戻りたいジョーと、何としてもソウルの世界に居座り続けたい22番が、共に過ごすことによって、お互いに見えていなかったものに気づいて行きます。

2人が辿り着いた先には、世界が今までよりほんの少し色づいて見える、素敵なメッセージが用意されていました。

「死」から見えて来る「生きるということ」

『ソウルフル・ワールド』ディズニープラスで配信中 © 2020 Disney/Pixar

予告編で見ていたので、ジョーが事故に遭って=死んでしまって、ソウルの姿になる事自体は予習済み。

ですが、これが本当に物語の冒頭でサクッと描かれ、そこまでがプロローグ的な演出なのは、かなりドキッとしました。

「主人公が死ぬ」という重大な出来事が、物語の導入部分にサクッと使われ、その後の「人生のきらめき探し」こそがメイン題材であることを、こんなにも軽やかに描ける手腕に脱帽。

導入部分の「死」があるからこそ、その後の「生きること」が見えて来る作品なんですよね。これ。

"今"観たい作品

昨今の情勢で、旅行やコンサート、パーティーやスポーツ観戦など、今まで当たり前に出来ていた、非日常な体験を得ることが難しくなっています。

もしかしたら、生きる目的を少し見失いかけていたり、家にこもって鬱々と将来の展望なんかを考えてしまう人も、少なくないかもしれません。

でも、こんな時だからこそ、『ソウルフル・ワールド』を見て欲しい。

少し疲れた人たちに、そっと寄り添う温かいメッセージであふれているんです。

なにも、非日常な体験だけが幸せじゃない。

見上げた空が青くて綺麗だった、今日食べたものが最高に美味しかった、ヘアスタイルがクールに決まって嬉しい。

こんな、一見ささいな事だとしても、日常にきらめきは溢れてるんです。

ピアノの才能だったりスポーツの才能だったり、抜きん出たものがなくてもいい。

目的や夢に向かって、がむしゃらに頑張る事だけが美徳じゃない。

ふと見上げた空を美しいと思える感性だって、その人の特技だし、きらめきなんですよね。

見た後にちょっとだけ世界が美しく見える、一瞬一瞬を大切に生きたくなる、そんなシンプルかつポジティブなメッセージを受け取れる作品なんです。

ピクサーが更なる高みへ…

ジョーと22番、そして見ている私たちがどういう過程で、このシンプルなメッセージに辿りついたのか。

未見の方は、ぜひご自身の目で確かめてみて下さい。

巧妙な心理描写と仕掛けの数々に、もう脱帽モノ。

映像や音楽の真新しさも相まって、ピクサーがまたひとつ、次のフェーズへ進んだなと感じさせられる作品でした。

ピート・ドクター監督、すげえわ。

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