子育てもやっとひと段落してきたころにやってくるのが相続や親の介護の心配です。
かくゆう私も昨年母が骨折で入院したとき、会話が不自然な様子に認知症と寝たきりになる心配がよぎりました。
幸いリハビリ後になんとか歩けるようになり、会話が不自然だったのは一時的に錯乱が起きていただけだろうということではありましたが、ここで気を緩めるわけにはいきません。母と家族信託の検討を含めて対策の話し合いをしています。
日本は超長寿社会になりましたが、必ずしも心身ともに健康に長生きできるわけではありません。
最近では認知症が進んでしまった親のもつ資産に関して
「親の預金が凍結されてしまった」
「親がもつ不動産の売却ができない」
などの困りごとをよく聞くようになったり、「おひとり様のまま迎えた老後に認知症になったら、どうすればいいの?」といった不安や心配を聞いたりするようになっています。
このように、長寿社会に伴い誰にでも起こりうる問題に対処する方法として「成年後見」や「家族信託」が知られるようになってきました。
成年後見と家族信託はどちらも“判断能力がない状態”で生きていく人に起こる不都合を解決したり、保護したりできる制度です。
判断能力がない状態とは、長生きに伴う認知症や衰えによる場合だけでなく、精神上、身体上の重い疾患や障害を持つ場合や、知的障害を持つ場合なども該当します。
まずはそれぞれの制度について理解していきましょう。
成年後見制度とは
大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
法定後見制度
法律による後見制度で、家庭裁判所を通じて後見人が選任されます。裁判所が選任した後見人は変更できず、後見を開始してしまったら本人の判断能力が回復するか亡くなるまで継続します。
家族が後見人になることを申し立てすることもできますが認められるとは限りません。
見ず知らずの司法書士や弁護士などのプロが後見人に選出されることもあります。その場合は、後見が継続する限り報酬が発生します。
任意後見制度
契約による後見制度で、判断能力があるうちに自分の信頼する人を後見人に選んで契約を結んでおきます。契約を結んだ時点では後見人になる予定という状況になり、本人の判断能力がない状態になったら実際に後見がスタートします。
任意後見人に対する報酬は契約内容に定めることもできますし、無報酬でも構いません。
しかし、任意後見人に対してプロの監督がつくことになるので、これには継続して報酬が発生します。