新しい世界の縮図のような会社を作りたい

’09年、行動力と決断力を買われた菅澤さんが代表取締役社長に就任する。同年から、米国のニューヨーク大学や中国・松江大学城のコンビニで『タダコピ』の提供が始まったのも、海外志向の強い彼のリーダーシップが発揮された結果だ。

「ただ、そうした組織改革を経たとはいっても、創業メンバー同士の関係や社風は、一般企業のそれと比べると、今でもかなりフラットだと思います。それに、みなの頭のどこかに、かつてのようなフラットな状態に戻したいという願望もあり、どちらも一長一短なので試行錯誤しているところです。

ただ、確実に言えるのは、どんな組織運営のやり方にも、良い面と悪い面とがあるということです。今の日本社会において、民主主義であるがゆえの悪い面がたくさん出ているのと同じですね。だから、会社の運営において最も大切なのは、状況に応じて組織を常に変化させる柔軟性を持つことだと思います」

売り上げや利益は手段に過ぎず、会社のビジョンとは切り離して考えているという同氏。では、単純な利益が同社の目標でないとすれば、最終的に何を目指すのか? 菅澤氏は、『タダコピ』がまさにそうであったように、既存のサービスや製品に新たな価値を付加し、それを世界中に広めることで人々の生活スタイルを根底から変えられるような企業にしたい、とした上で、次のように話す。

「ちょっと大きな話になってしまうのですが、私は、ビジネスを通して国のあり方を再構築したい、そのために自分の一生を捧げたいと思っています。つまり、私がやりたいのは、国境で区切られた主権国家という従来の考え方から離れて、オーシャナイズという会社を新しい形の共同体に見立て、それに関わる人々の幸福を追求したい、ということなんです。

それに、世界を視野に入れた大局的な考え方に基づいて全体最適を追求しなければ、結局、長期的な意味での自社の利益にはつながりません。それは企業内においても同様で、会社の中には、残念ながら力を発揮できない人もいますが、彼らを機械的に切っていくだけではダメで、どうすれば彼らが結果を出せるようになるかを考えることが、企業の利益にとっても大切だと思うのです。

もちろん、甘い考えだという指摘も理解できますし、眼前の利益を優先することとのバランスは重要ですが、やはり私は、今後もそういうやり方を志向し続けたいと思います」

そういう「新しい世界の縮図のような会社」を作ることが、菅澤さんの、そしてオーシャナイズの目指すゴールなのだ。

(雑誌「ウレぴあ」秋号より  松島 拡 = 取材・文 高岡 弘 = 撮影)


すがさわ・さとし●1984年東京都生まれ。2003年慶應義塾大学経済学部に進学。’05年、大学3年時に株式会社オーシャナイズ(英文表記:Oceanize,inc.)を5人の共同創業メンバーで設立。’06年4月、コピー紙の裏面を広告媒体として活用するサービス『タダコピ』を開始。その後、首都圏の大学を中心に設置先を拡大し、現在は全国162大学 194キャンパスでサービスを展開。’09年4月同社代表取締役社長就任後は海外事業も積極的に行なっている。
 

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・情報発信力…イケダハヤト、クリエティブ力…gloops、起業・ビジネス力…片桐孝憲(ピクシブ社長)/菅澤聡(タダコピ創業者)
・恋愛力…峰なゆか、仲間・チームワーク力…丸山桂里奈(なでしこジャパン)、ファッション・モノ選択力
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