今、子育てと仕事の両立に奮闘中の人や、いろいろな事情で仕事を辞めざるを得なくなった人は、ふと「仕事を辞めたらどうなるのだろう?」と不安になることもあるかもしれません。
実際、ワーキングマザーを辞めた後のキャリアのことを考えると、不安が大きいものです。
そこで今回は、多数のワーキングマザーを支援してきたキャリアコンサルタントの中尾あずささんに、子育て中のママが仕事を辞めた後、どのような道があるのかということや、選んだ道で満足しているママたちの事例を伺いました。
仕事を辞めたいママはどのくらいいるのか
これまで中尾さんがサポートしてきたママの中で、仕事を辞めたいというママはどのくらいいたのでしょうか?
中尾あずささん(以下、中尾)「今までキャリアカウンセリングやその他で接したワーキングマザーのうち、辞めたいと相談されてきた方は3割程度です。
キャリアカウンセラーに相談に来る時点で『本当は辞めたくない』という思いが根底にある場合が多いです。辞めたい方は相談する余地もなく、辞めてしまっているという現状があります」
仕事を辞めたくなる、2つの理由
中尾さんのところに相談に来るママたちは、どのような理由で仕事を辞めたいと相談するのでしょうか? 中尾さんによれば、大きく2つあるといいます。
1.自分以外のことが理由の場合
中尾「自分以外のこと、例えば、旦那様の転勤や家族の介護、リストラなど、ご自分が原因ではなく辞めざるを得ないという理由のケースです。
また、お子さんの病気やアレルギー療養、精神的な発達の遅れや不登校など、お子さんが理由のこともあります」
2.自分のことが理由の場合
中尾「自分のことが理由の場合もあります。例えば、仕事と育児を両立していく上で体力的に限界を感じたり、人間関係などで精神的に限界を感じたりして辞めたいと思うケースがあります。
また、自分の理想の働き方を追いかけて、やりたいことや夢があり、フリーランスとして独立や起業するために辞めたいと思うケースもあります」
ワーキングマザーを辞めたいと思う理由には、人それぞれさまざまな事情があるようです。
ワーキングマザーが仕事を辞めたらどんな道がある?
どのような理由であっても、ワーキングマザーが今の仕事を辞めるとすると、子育てがひと段落ついた後のキャリアのことが気になるものです。
ワーキングマザーが仕事を辞めた場合、その後、どのような道の選択肢があるかを中尾さんに伺ったところ、主に次の3つがあるそうです。
1.子どもが小学生くらいまで専業主婦
中尾「子どもに手がかかる小学生くらいまでは、仕事をせず専業主婦として子どもに向き合い、子どもが中学生になったら仕事に復帰するという道です。
メリットは、子どもに向き合う時間や精神的余裕が生まれることです。
デメリットは、自分で自分の社会的価値が下がってしまったと感じやすくなるところ。また世帯収入が下がることや、ブランクができてしまうので、再就職がしにくくなる傾向があるということがあります」
2.パートで働く
中尾「正社員などのフルタイム勤務ではなく、パートで働くという道です。
メリットは、家からの距離や働く時間を調整することができるため、育児や家事との両立がしやすくなることや、体力的な負担が軽減すること、仕事の精神的負担を軽減できることなどがあります。
デメリットとしては、将来のキャリアが描きにくくなることです。パートは、やりたいからというよりも、条件で仕事を選ぶことになるためです。これまでとはまったく異なる仕事をすることで、自分は何がしたいのか、見えにくくなることもあるでしょう」
3.独立や起業
中尾「独立や起業をして、自分のやりたいことをやるという道です。
メリットは、やりたいことをやることができるため、満足度が高いこと、定年なく長く働けること、さらに育児や家事との両立など、自分でコントロールできることなどがあります。
デメリットとしては、始めのうちは収入が安定しないということがあります。またプライベートの時間も仕事に費やしてしまい、公私の区別がつかなくなることも考えられます」