高橋書店『ざんねんないきもの事典』と『続ざんねんないきもの事典』

この地球上に住むすべての生物は、まさに神業といえるような絶妙なバランスで作られている。

それぞれの生活や活動の理に適った姿はもちろんのこと、食事、睡眠、治癒や生殖の能力や方法など、挙げればキリがありません。

そんな中で、私たち人間は見た目、暮らしなど、自分と他とを比較して、マイナスの面を見つければ、嘆き悲しんでしまうものです。

でも、多くの生き物たちは違います。ちょっとざんねんな部分だって、ありのままを受け入れ、それを当たり前として生きているのです。

シリーズ累計95万部を突破したという人気書籍『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』『おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』では、そんな動物たちのざんねんで、ちょっと切ない特性や習性を知ることができるんです。

そんな小中学生から大人までを魅了する人気本、そして、サンシャイン水族館とのコラボレーションで開催されるサンシャイン水族館特別展「サンシャイン水族館×高橋書店『ざんねんないきもの事典』シリーズ ざんねんないきもの展」についてご紹介しましょう。

ざんねんだからこそ愛おしい!

生き物図鑑などでは、その動物のカッコよさや可愛らしさ、能力の高さなど、よい方の特徴にスポットライトを当てたものも多いかもしれません。

でも、「ざんねんないきもの事典」「続ざんねんないきもの事典」で紹介されている生き物たちは、マイナスともいえる特性がむしろ愛おしいと思えるから不思議です。

そう、生き物に必ず“ざんねんな特性や習性”があるんですね!

「サイの角は、ただのいぼ」

サイの角は工芸品や漢方薬として昔から大変人気でした。その角は高く売れることから、ハンターがサイを狩り、今では世界に5種類いるサイのすべてが絶滅の危機に……。そんなサイの角は皮膚の一部が硬くなったもの、つまり「いぼ」なのです。

しかも、サイの角はシカやウシのようにカルシウムでできているのではなく、髪の毛や爪と同じケラチンでできており、ありがたがって漢方薬にしても、その辺のおじさんの爪を煎じて飲むのと大差ないんですって。

「ワニが口を開く力はおじいちゃんの握力に負ける」

動物の中でも一番噛む力が強いとされているのが「イリエワニ」。その大きさはワニの中でもトップクラスで、最大で6メートル以上。かみつく力も、口全体で小型のトラックくらいの重さをかけることができ、たいていのものは噛み砕いてしまいます。

ところが、口を開ける力はビックリするほど弱く、たったの30kgほど。日本の平均的なおじいちゃんが片手で抑え込めるくらいなのだそう。

「パンダが一日中食べ続けているササの葉には、実はほとんど栄養がない」

パンダが食べているササは栄養が少なく、消化しづらい食べ物。もともとパンダはクマの仲間のため雑食で、動物の肉や果物も食べられます。しかし、大昔に他のクマに住む場所を追われ、ササくらいしか生えない高山で暮らすことになりました。

つまりパンダは生存競争に負けた結果、消化の悪いササを1日かけて、大量に食べるハメになってしまったのだとか。

他にも、さまざまな生き物のなぜ、そうなった!? と思わず、笑ってしまうざんねんエピソードがたくさん載っています。知れば、生き物たちへの見る目がちょっと変わり、動物園や水族館での体験がさらに楽しいものになるかもしれません。