妙に生々しい女性の姿が描かれます
『ギャラクシーエンジェル』

キャラクターグッズやトレーディングカードゲームの販売を手掛けるブロッコリーが大規模なメディアミックス作品として展開した『ギャラクシーエンジェル』シリーズ。アニメ版は、全四期が制作される人気シリーズとなりました。

天然だけれどひたすら良い娘なミルフィーユ、お金持ちやイケメンに目がなく玉の輿を夢見続ける蘭花、毒舌なお嬢様キャラなれどコスプレ好きという隠れた趣味があるミント、チーム一の年長者で銃器マニアのフォルテ、そして、無口な不思議ちゃんのヴァニラという、容姿も性格もバラエティに富んだ"濃い"5人によって構成されている部隊、エンジェル隊。

アニメ版の『ギャラクシーエンジェル』シリーズは、このエンジェル隊が宇宙規模で繰り広げるドタバタ劇をシュールでナンセンスなギャグを盛り込みながら描くオムニバス形式のギャグアニメです。

"ギャグアニメ"と聞くと、女性特有のドロドロした感情とは無縁な作品に思えるかもしれませんが、トンデモありません。というのが、この『ギャラクシーエンジェル』、作中での女性描写が何ともリアルなのです。

影で男性上司(物凄い穏やかな性格で、壮年の中間管理職)に対する悪口や愚痴を言い合ったり、お金や男性関係で内輪揉めを起こしチーム内で醜い争いを繰り広げたり……中でも、蘭花とフォルテのふたりは、お金や男に対して特に意地汚い女性として描かれており、多くのエピソードで大騒動を巻き起こすトラブルメーカーと化してしまいます。

お金や男絡みで起こった諍いが原因で惑星が滅亡したり、チーム全員が全滅したりすることも日常茶飯事。完全にバッドエンド……なんですが、そこはオムニバスアニメの良いところで、次のエピソードでは何事もなかったかのように復活し、またしても恋愛やお金絡みで女同士の醜いを争いを繰り広げるのです。

コメディアニメなので、抱腹絶倒もののギャグやたまに人情話なんかも出てきますが、このブラックなユーモア感覚と妙に生々しい女性の描写こそ、本作の真骨頂。職場にもいるいる、こんな感じの結婚を焦ってる女子社員……なんて、ヒンヤリした黒さを伴った親近感を抱くこと間違いなし。

身近に潜んでいる女性の怖さを感じられる、しかし、その怖さに震えつつもキチンと笑える、そんな不思議なバランス感覚を持ったエンタテインメント作です。