みみめめMIMI『晴レ晴レファンファーレ』(『甘々と稲妻』オープニング主題歌)

今期アニメも素晴らしい作品がたくさん揃っていますが、中でも高い評価を得ている作品のひとつ、『甘々と稲妻』。

雨隠ギド先生の『good!アフタヌーン』連載作をアニメ化した本作は、最愛の妻を亡くしてしまった主人公が、娘の為に手料理を作ろうと悪戦苦闘しながらも周囲の人々と共に成長していく姿を描く食育ヒューマンドラマ。非常に丁寧な作劇に加えて、主演の中村悠一さんや早見沙織さんら人気声優陣の好演も光る作品です。

アニメ本編の魅力と併せて、主題歌もオープニング、エンディング共にオススメなのですが、今回はオープニングの『晴レ晴レファンファーレ』をプッシュさせていただきます。

「みみめめMIMI」が歌うこの曲は、今期アニソンの中でも特に音の情報量が多いカラフルな楽曲です。編曲を「SEKAI NO OWARI」のプロデュースで知られる音楽制作チーム「CHRYSANTHEMUM BRIDGE」が担当しているということで、何はなくとも、真っ先にそのファンタジックなオーケストラサウンドが強い印象を残します。

「みみめめMIMI」のメロディセンスと歌唱力に、オーケストラを使ったサウンドを得意とする「CHRYSANTHEMUM BRIDGE」の表現力が完璧に結実した『晴レ晴レファンファーレ』は、ちょっぴりストレンジでビザールながらも、多幸感に溢れた何とも愛らしいポップソングです。

また、コケティッシュでちょっと舌っ足らずなタカオユキさんのヴォーカルが良いんですよね。アニメのつむぎちゃんのイメージにもピッタリで、この元気一杯な楽曲は、『甘々と稲妻』という作品にとてもマッチしています。

前半では、登場人物たちの日常描写を描きつつ、この曲の盛り上がりに合わせて、一気にファンタジーかつファンシーな世界観を展開するアニメーションも素晴らしい出来で、もしも未見の方がいらっしゃるなら今からでも全力でオススメしたくなる……そんな愛すべき楽曲です。

坂本真綾『Million Clouds』(『あまんちゅ!』オープニング主題歌)

昨年は、歌手デビュー20周年というメモリアルを祝して、豪華ミュージシャンが集結したトリビュートアルバム『REQUEST』と9枚目のオリジナルアルバム『FOLLOW ME UP』のリリース、記念コンサートの開催……と精力的な音楽活動を繰り広げた坂本真綾さん。

そんな真綾さんにとって、新たなる節目への第一歩となる2016年の最新シングル『Million Clouds』には、その透明感に溢れた瑞々しい歌声を存分に堪能できる"歌"の魅力がギッチリと詰まっています。

「波」「海」「船」「人魚」といったキーワードが散りばめられた歌詞は、ダイビングに挑む女子高生たちの青春模様を描く『あまんちゅ!』の世界観とも見事にリンクしており、そのシンクロ具合も何とも快い一曲です。

作曲者としてクレジットされている「Frida Sundemo」は、近年の真綾さんの楽曲においてキーパーソンの一人となっているラスマス・フェイバーの楽曲にヴォーカリストとして起用されているスウェーデンの女性シンガーであり、前述のトリビュートアルバムにも参加(「Rasmus Faber feat.Frida」名義で『afternoon repose』をカヴァー)するなど、真綾さんとも縁のあるクリエイターです。それもあってか、この曲のメロディも極々自然体で歌声と馴染んでいる印象を受けます。

テレビサイズでも十分に楽曲の美しさは伝わってくるかと思いますが、穏やかな鍵盤の音とギターの音色に始まり、徐々にスケールを増していく感動的な構成は、フルサイズで聴くとより一層情感を揺さぶられますので、CDやデジタル配信で最初から最後まで通して聴いていただきたく思います。

また、『あまんちゅ!』は、『GONTITI』によるBGMや新居昭乃さんの作曲によるエンディング曲の『ふたり少女』(歌唱は、主演を務める茅野愛衣さんと鈴木絵理さんのお二人)も非常に美しい曲ですので、こちらも必聴ですよ。

flying DOGプロデュース作らしいハイセンスな音楽も大きなポイントとなっている『あまんちゅ!』。天野こずえ先生原作の『ARIA』と同じく、本当に音楽に愛されている作品だなと思います(恥ずかしい台詞、禁止!)。