ソウルの注目エリア、鍾路3街(チョンノサムガ)ツアーの5回目は、先日、米国アカデミー助演女優賞を獲ったユン・ヨジョン主演作『バッカス・レディ』の舞台、タプコル公園に接する鍾路大通りの南側を歩いてみよう。
行きつけの飲み屋
鍾路3街というのは仁寺洞の東隣り、タプコル公園の裏手に広がっているイメージが強いが、じつは鍾路大通りから南下して清渓川が見える辺り(観水洞)までを含んでいる。具体的には鍾路3街駅の14番、15番の南側だ。
鍾路3街駅の12番から地上に出てそのまま進み、2つ目の路地を入ると、突き当り左手に筆者行きつけのシュポ(一杯飲める食料雑貨店)「ヨングァン食品」がある。
住所は長沙洞なので厳密に言うと鍾路3街とはいえないが、駅のすぐ近くなのでざっくり鍾路3街エリアと解釈していいだろう。
「ヨングァン食品」のようなシュポの魅力はなんといっても安いこと。ソウル市内では、ちゃんとした飲食店だとビールやソジュ(焼酎)やマッコリが1本4000ウォンくらいするが、シュポではそれより1000~1500ウォン安く飲める。
つまみは陳列されているポテトチップスやえびせんなどの袋菓子や缶詰を買って食べてもよいし、女将がサッと調理してくれる炒め物や鍋ものを頼んでもよい。
お酒2本と袋菓子なら10000ウォン(約1000円)でじゅうぶん楽しめる。
もうひとつの魅力は、店が狭いので隣席のおじさんたちとすぐ親しくなれることだ。
シュポはいろいろな面で融通がきくので、常連さんが持ち込んだ肉や魚を女将が煮たり焼いたりしてくれる。
韓国には食べ物を分かち合う文化があるので、日本から来た旅行者がご相伴にあずかれる可能性は高い。
シュポにはたいてい母性的かつ個性的な女将がいる。たいてい一人で切り盛りしているので、下ごしらえ、調理、配膳、接客、洗い物などで片時もじっとしていない。
「ヨングァン食品」の女将も例外ではない。元職業軍人(!)なので、動きにムダがない。
秩序を乱す酔っ払いがいたら一喝することもあるが、基本的に常に笑顔で快活だ。