「12時通り」の賑わい
「ヨングァン食品」の南側の路地は、東西に個人経営の大衆食堂や飲み屋が並んでいるが、これらの店がターゲットとしているのが、この一帯に集中している中小の電気工事会社や記章専門店の主人や零細の金属加工工場で働く人たちだ。
韓国の高度経済成長は現代やLG、サムソンだけが支えたのではない。彼らも陰の立役者なのだ。頭と体をバランスよく使って働いている彼らはよく食べ、よく飲み、よく笑う。今より景気がよかった80年代、昼も夜もこの辺りは大変な賑わいだった。
「ニューレトロ」という言葉が流行ったことからもわかるように、ここ数年はレトロモダンなものや生活感のあるものに関心をもつ若者が増え、昔の韓国の雰囲気を楽しむために 鍾路3街に遊びに来る人も増えてきた。
この辺りから東方向の乙支路3街、4街にかけては零細工場が多く残っているが、数年後には再開発で撤去される可能性が高く、今のうちにその姿を目に焼き付けておこうという人が多く訪れるのだ。
「ヨングァン食品」の南東方向、ドラマ『ビンチェンツォ』の舞台として注目された世運商街(セウンサンガ)の手前の一画には、「12時通り」と呼ばれる飲食店街がある。
80年代ほどの賑わいではないものの、今でもランチタイムには、ひいきの店を目指す労働者たちであふれ、出前の定食をのせたお盆を頭にのせたアジュマ(おばさん)が行ったり来たりする。
次回はこの一帯の人気食堂をいくつか巡ってみよう。
(つづく)
鍾路3街とは?
ソウル旧市街(漢江の北側)の観光地・仁寺洞(インサドン)の東隣りに位置する庶民の歓楽街。おじいちゃんの憩いの場、巨大屋台街、スタイリッシュなカフェレストラン街、新宿2丁目的な路地、ドヤ街などが共存するカオスな街だ。
ここ数年、日本のガイドブックに登場するようになった古民家を改装したカフェレストラン街・益善洞(イクソンドン)は鍾路3街の中心部にある。法定洞としては楽園洞、敦義洞、益善洞、鳳翼洞、墓洞、臥龍洞、雲泥洞、慶雲洞、観水洞が鍾路3街に含まれる。
チョン・ウンスク「ソウル発オンライン講座」開催(全3回)
4月25日(日)、5月23日(日)、6月27日(日)の16時~17時は、オンライン講座「67年生まれ、チョン・ウンスクが振り返る韓国の50年」です。全3回のうち1~2回は4月25日と5月23日に開講しました。
1~2回目の見逃し配信をご希望の方は、フリーダイヤル(0120-53-8164)にお電話なさってください。3回目のみお申し込みいただくこともできますが、見逃し配信を含め全3回通しでのお申し込みのほうが割安です。
3回目の6月27日(1998~2020)分のお申し込みは、栄中日文化センターのサイトか、上記のフリーダイヤルへ。