劇団四季によるディズニーミュージカル『アナと雪の女王』の待望の日本初演が2021年6月24日(木)から、東京・竹芝エリアに誕生した新劇場「NOMURA 野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]」のロングラン第一弾作品として開幕する。
2013年に公開され、世界的な大ヒットを記録したディズニーの劇場版長編アニメーション『アナと雪の女王』。
その名作アニメを舞台化した本作は、18年3月にブロードウェイで初演され、2020年に日本初演される予定だったが、コロナ禍であえなく開幕を延期。今回、満を持しての上演となる。
初日まで1カ月を切った5月某日。横浜市青葉区にある四季芸術センターで、出演候補者によるメディア向け公開稽古と合同取材会が行われた。
岡本瑞恵、圧巻の表現力で「ありのままで」熱唱
演出アソシエートのエイドリアン・サープルが「Enjoy!」と声を掛け、公開稽古が始まった。
この日公開されたのは3曲。
1曲目は、アレンデールの王女アナが歌う「生まれて初めて」。眠っていたアナが、侍女に起こされて、急いでドレスを身につけ、これからの出会いに胸を膨らませる様子を歌う。
この日アナを演じた町島智子は、表情豊かに、とてもチャーミングなアナを演じていた。
続いては「サザンアイルズのハンス」〜「危険な夢」。偶然出会ったアナとハンスが、ぎこちない会話ながらも、互いの出自と立場に共感して、心が惹かれ合っていくシーンから、エルサの戴冠式までを通す。
この日エルサを演じた岡本瑞恵は、凛とした表情がよく似合う。短いシーンながらも、孤独や女王としての矜持が十二分に感じられた。
一旦、エイドリアンらによるフィードバックの時間が設けられた。細かい振付の確認や、芝居の間合いなどを詰めていく。
間に通訳を挟みながら、カンパニー一同、真摯にその意見やアドバイスに耳を傾ける。
中でも印象的だったのが、俳優陣は言われたことをすぐに実践して見せること。何が最適解なのか、その場で探り、ともに創る姿を垣間見た。
そして、最後は「聞いたことのない曲だと思います」とエイドリアンが冗談を言うほどに、本作を代表するナンバーの「ありのままで」。エルサが魔法の力を解放し、ひとりで自由に生きていく決意を高らかに歌い上げる名曲だ。
本番では、さまざまな舞台効果が組み合わさって、よりゴージャスな場面になるのだろうが、公開稽古の段階で、岡本エルサはたったひとりで、素晴らしい歌唱を堂々と披露。
エイドリアンが「彼女には何も舞台効果は必要ない」と言うほどに、その熱量と表現力は圧巻だった。
「ありのままで」を歌い終わった岡本エルサのもとに、町島アナが駆け寄って、抱き合うシーンも。これまでの思いがこみ上げてきたのか、ふたりとも涙ぐんでいるように見えた。
筆者自身、これまでいくつもの演劇の稽古場を取材してきたが、ここまで稽古の段階で心を揺さぶられ、感動したのは初めての経験だった。本番がさらに待ち遠しくなった。