「どうしても資料を配る必要があれば、“意思決定者がどのページを読んでいるか”ということに注目しましょう。その人がページを飛ばし始めたら話のスピードも上げ、あるページで手を止めたら、その部分を重点的に話すという、臨機応変な対応が必要です。これはなかなか難しいので、“資料は後ほどお配りしますので、気になる点はメモをお願いします”と言って始めるのがいいでしょう」

また、プレゼンター自身も、資料を読みながら話すのは、その場の状況を観察する余裕がなくなるため好ましくないようだ。

今回はプレゼンテーションを進める資料としてのパワーポイントに着目し、「伝わるパワポ5箇条」と、成功例&失敗例をまとめた。正しい資料作りをマスターして、メッセージをしっかり伝えよう。

伝わる「パワポ」5箇条

1.タイトル/言葉は短く
文章が長いと、人はそれを読むことに集中してしまう。パワーポイントでは内容を要約して、短いキーワードで伝えるようにしたい。まずは文章を1行に収めるトレーニングをしてみよう。

2. フォントは大きく
文章を詰め込み過ぎないために、「フォントは18pt以上のものを使う」という決まりごとを作っておくといい。文章をそぎ落とす訓練になり、また見た目にもわかりやすいため、一石二鳥だ。

3. 色使いに注意する
重要なポイントを目立たせるため、色を使うのは有効だが、多くの色を使いすぎると目が散り、分かりづらくなってしまう。相手先のコーポレートカラーも意識しつつ、3色を限度にしたい。

4. 統一感を出す
フォントの大きさや文字の流れ方(左から右、上から下など)が乱れていると、理解がしづらくなる。
色に関しても「ポジティブな話は青」「ネガティブは赤」など、ルールを決めておこう。

5. つながりを意識する
スライドの弱点は、1枚1枚が印象的でも、つながりがわかりにくいこと。スライドの最後に、「だから/しかし」など次につながる接続詞を入れておくと、話すことが苦手でも安心だ。


パワーポイントやキーノートは、あくまでプレゼンテーションを分かりやすくするためのもの。ゴチャゴチャと内容を詰め込みすぎず、「1 スライド・1 メッセージ」を意識して、可能な限り簡潔なものにしたい。

ポイントは、冗長な文章をキャッチコピーに、キャッチコピーをより簡潔なネーミングに落とし込むこと。ひとことで伝わるところまでそぎ落とされたコンセプトこそ、人に響くものになる。

リハーサルを入念に行えば、キーワードだけの簡潔な資料で話を進められるはず。パワーポイントに文章を詰め込みがちな人は、「資料に任せて、本番で楽をしようとしていないか」と自分に問いかけるようにしよう。