過干渉や暴力・暴言で子供の人生を支配しようとする、もしくは自分優先で子供に無関心など、子供にとって「毒」となるような親のことを「毒親」と呼びます。
この言葉自体は、1989年に海外の専門家が提唱したものですが、近年SNSが発達し、毒親にまつわるさまざまなエッセイなどが登場したことで、日本にも浸透してきました。
大人になったにも関わらず、どことなく親の意向をうかがっていたり、昔親から言われたことやされたことが呪いとなって生きづらさを感じているという場合、自覚がなかったとしても「毒親」持ちかもしれません。
親子関係に悩む人が陥りやすい考え方や性質について、『親に壊された心の治し方 「育ちの傷」を癒やす方法がわかる本』『親の支配 脱出マニュアル 心を傷つける家族から自由になるための本』(ともに講談社)の著者・藤木美奈子さんに伺いました。
要注意!毒親の呪いから逃れられなくなるNG思考タイプ3選
子供を産んで母親になると、以前よりも鮮明に子供時代のことを思い出したり、親から言われたことを思い出したりすることがありませんか?
毒親から暴力や暴言を受けていた場合、出産・育児をきっかけに自分の中の“育ちの傷”が開くことはよくあるのだそう。
藤木さん「子供への虐待がエスカレートして児童相談所へ、という方がいらっしゃいました。自身も子供時代に親から虐待を受けていて、子供を持った途端にその記憶が鮮やかによみがえったそうです。
子供を可愛がろうとしても、『自分がそういうことをしてもらっていないのに、なんでお前だけ可愛がられるんだ』と思ってしまうということで、苦しんでおられた方でした。
この方の育ちの傷を癒やすには『なんで私ばかりこんな目に』というような被害的な思考を修正していくことが必要になります。それによって自分のことが少しずつ好きになり、子供のことも認められるようになり、親子関係も改善していく。
ですので、自分の親に痛い目にあわされた記憶のある方は、できれば妊娠中に心理療法なりカウンセリングを受けたほうがいいと思います。全員が子供に同じことをするというわけではないのですが、そういう傾向の方は非常に多いと思います」
では、どのような思考、タイプの人が毒親との関係に悩みやすいのでしょうか? これについても、藤木さんはある傾向があるといいます。
1:真面目過ぎるタイプ
藤木さん「まず親の問題で悩む人の第一条件というのは、真面目なんです。親の言うことを重く受け止めているわけですね。
ですから、同じ親を持つごきょうだいでも、まったくそうではない方もいるんですよ。つまり親の言うことを重く受け止めない。そういう方は、さほど親の悪影響を受けないですね。
もちろん暴力になってくるときょうだい変わらず悪影響を受けますが、言葉の暴力とか、毎日否定された、嫌味を言われたというようなケースの場合、きょうだいのタイプによって受け止め方が違うことがあります。
重症化する方というのは、非常にまじめである場合が多いです」
2:自信がないタイプ
藤木さん「いつも否定されているので、『自分はダメ』、『自分は何の役にも立てていない』、『おかしいのは自分だ』……など、自分に自信がなく、人の言うことを気にしやすいという特徴もあります」
3:すぐにあきらめてしまうタイプ
藤木さん「『どうせ失敗する』、『どうせ自分は受け止めてもらえない』というような、最初からあきらめモードの思考を強く持っているということも傾向としてあります。
自分は価値のない人間で、人より劣っている、ということを常々思っていると、どんどん負のループにはまっていって、その結果どうなるかというと、病院に行けと言われて薬を飲むことになり、本格的な精神病に“させられて”しまう。
実際は親子関係がもとで起きているただの悩みなんですが、病院に行くことによって診断名をつけられてしまうケースがとても多いんですね。
『親の支配 脱出マニュアル~』には、あなたは単に親の影響で自尊感情を低められているだけだから、思考をきちんと修正することで立ち直れるよ、というメッセージを込めています」