毒親に悩んだら試してほしい“ゆがみ”の修正法

前述のようなタイプで特に毒親に対して悩みやすい場合、もともとの性格もあるかもしれませんが、長年の毒親との関係性から思考にゆがみが生じている可能性があります。

「自分なんて」「自分のせいだ」「私が我慢すれば」など、自分を責めたり卑下したりし過ぎている場合、ぜひ藤木さんが提案する次の方法で思考の“ゆがみ”を修正してみてください。

藤木さん「認知行動療法的な方法なのですが、自分自身にある根拠のない決めつけや思い込みを修正していくことが大切です。

例えば『自分はダメ』という言葉を修正する言葉としては『自分にもできることがある』。『どうせ失敗する』という言葉は『この世に失敗なんかない、取り戻せる』。『おかしいのは自分だ』という言葉は『おかしいと言う人がおかしい』。『どうせ自分は受け入れてもらえない』という言葉は『受け入れてもらえなくていい』とかですね。

この『別に受け入れてもらえなくていい』という気持ちが大事です。要するに親の機嫌ばかりを見てきたわけですから、自分は受け入れられないといけない、と思っているところが問題なんです。『自分は受け入れられなくても構わないんだ』という考え方もひとつですよね。

ただ、基本的には正解はありません。どう考えると自分がラクになれるか、というふうに考えることがとても大切。

そしてこの修正する言葉を思いついたら、1日何十回と繰り返して定着させていく。“定着ワーク”というんですが、これもとても大事です。認知のゆがみの修正と定着ワーク、このふたつがないと回復はしません。

口に出しても構わないし、出したくない人は紙にたくさん書くのでもいい。掛け算の九九を覚えるときみたいに、紙に書いて貼り毎日眺めるのでもいいです。あるいはスマホに録音しておいて、電車に乗っているときにイヤホンで聞く。

とにかく五感を使うことが大事なんです。耳、目、口など、五感をフル活用すると早く良くなりますね。

私のところに来られて、この方法を試した方で『世界が変わった』とおっしゃる方もいました。

例えば親子関係でなくても、ひどいいじめにあった、行きたい学校に行けなかったなど、学校で挫折した心の傷付きや、職場での人間関係で受けた傷なども、十分認知のゆがみになると思うんですよね。そういう方にもこの方法はおすすめです。

ひと言でいうと、親子関係を含めた人間関係すべてです。そういうことで悩む方には効果があると思います。

精神分析のように昔を掘り起こすような作業が必要なわけではなく、このように簡単な方法で治りますので、ぜひやってみていただきたいなと思います。もちろん、親と物理的に距離をとるというのも大事ですよ」

藤木さんは、今回紹介した方法を実践することで、ゆがみを修正することは必ずできるといいます。もし、親との関係で悩み、自分を責め、生きづらさを感じているようなら、ぜひ試してみてください。

そして、どうしても自分だけではどうにもできないと感じたら、認知の歪みを修正するには、単なる心理カウンセリングではなく、認知行動的アプローチの専門家に相談するか、藤木さんが所長を務めるSEP研究所のリモートセッションを利用してみてくださいね。

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。