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――ヴィジュアル系って衰退しているとはいえ、まだまだ固定客の多いジャンルじゃないですか。その層を狙うために本来ヴィジュアル系バンドじゃなかった人たちが参入するっていうケースもありますしね。
団長:俺らも元々メタルバンドをやっていてヴィジュアル系シーンに参入した後乗り派なんですよ。このシーンにはたしかに固定客も多いし「商品」として売りやすくなるし。もちろん、そういう打算的な考えもありつつも「ここなら何かおもしろいことができるかも」と可能性を感じていたわけです。
以前は俺もヴィジュアル系を馬鹿にしてた部分も多かったんですよ。中学の頃はヴィジュアル系四天王(La'cryma Christi・FANATIC◇CRISIS・MALICE MIZER・SHAZNAのこと)の全盛期で、La'cryma Christiなんか特にサウンドがしっかりしてる上で見た目にも華があって……、10代の頃は「なんて無限に広がるジャンルなんだろう!」と思ってたんです。
でも自分がバンドを始めるような年齢になった時、当時通っていた専門学校の近くに有名なヴィジュアル系のライブハウスがあったんで行ってみたんです。そしたら、みんな同じような格好をして、同じような曲をやってる。「5バンドのイベントなのにこいつら全部一緒じゃねーか!」と、それですごく偏見を持つようになったんですね。
――そういうイベントやバンドがあるのは昔も今も否定出来ないですね……。
団長:でも、その時期はやっぱり良いバンドもいっぱいいたんですね。探れば探るほど。当時の専門学校の友達も「お前メタル好きならこのバンドがいいぞ!」とかいろいろ教えてくれて。そこから改めてまたヴィジュアル系の世界に興味を持っていって、徐々に「こんな面白い人達がいるならまだまだ捨てたもんじゃないなヴィジュアル系って」思うようになったんです。実際その頃に面白いと思っていたcali≠gariやムック、MERRYみたいなバンドは今でも残っていますし。
――その後ご自分でもヴィジュアル系バンドとして活動することになるんですね。
団長:それが05年くらいですかね。あの頃は楽しかったですね、イベントに出ても刺激になることばかりで。いまはもう正直、どうなんだろう……。たまにライブハウスにも足を運ぶんですけど、お客さんの入りが当時の1/3以下なんですよ。
2000年中頃くらいまでは、中堅のバンドがたくさんいたんです。常に6~70人の動員を抱えているような中堅バンドを5つ集めたら、それだけで3~400人の集客があるイベントができるじゃないですか。いまって中堅バンドが少ないんです。俺らも含めて中堅なんですけど、若手と中堅の差がものすごい開いてしまっているんですよね。
結局いまのシーンで残ってるのは、当時と同じ奴なんですよ。バンドを変えて、名前を変えても、やってる人は実はあまり変わらないんですよね。そこに乗れなかった次の世代の若手との差がすごく離れてしまっているんです。その格差が激しいというか。