――いま人気のあるバンドのメンバーを見てるみると、結成は最近でもそのうちの何人かは2000代前半からシーンで活動しているというケースは少なく無いですね。
団長:完全新規でヴィジュアル系シーンに参入するには、キツい状況だと思います。このシーンは「ヴィジュアル系」っていうジャンルに囚われて、それに飲まれて「ヴィジュアル系以下」のことしかできなくなっちゃった。
先人たちが広げていった「ヴィジュアル系」というフィールドを風船に例えると、中にいる人間が少しづつ空気を吸っていって風船がどんどんしぼんでいってしまって。唯一その風船に空気を入れて膨らませたのはゴールデンボンバーだけなのかなって。もちろん俺らも同期の人間としてやらなきゃいけないことはたくさんあるんですけど。
ゴールデンボンバーやJin-Machineは俺らとほぼ同期なんですね。ヴィジュアル系に可能性を感じてこのシーンに来たはずなのに、右に習えの事なかれ主義のバンドが増えすぎて嫌になってた世代だと思うんです。
――音楽業界自体が不況と呼ばれて久しいですしね…。
団長:たしかに娯楽を削らなければいけくなった時、「ライブにいかなくても、CDを買わなくてもYouTubeもあるし」って思っちゃうでしょうし。それでもライブに来てもらえるようにするためにはということを考えなきゃいけない。だけど音楽業界ってまだ考え方がバブルなんですよ。90年代でとっくにはじけてるのに、まだその時と同じ方程式を当てはめようとして、もう無理なのに。
俺らが若い頃は情報源が雑誌しかなかったから、雑誌に載ればCDやデモテープが売れた時代なんですよ。正直「昔が良かった」なんて言っちゃいけない言葉だと思うんですけど、いまは雑誌を見て、検索してHPやYouTubeを見れるから、お金をかけなくてもそのバンドを知れる時代なわけでしょう。でもそれって悪いことでもなくって、バンド側がお金をかけずに宣伝できるので素晴らしい時代だなと。
一方で、「YouTubeがあるからCDが売れない」みたいな意見がたまに出てくるじゃないですか。そんなのどうでもいいんですよ。それでも売れる人は売れるから。
だから、YouTubeがあっても「ライブを見たい」と思わせるようなバンドにならなくちゃいけないのに、みんな「時代だからさ」「俺らいい音楽やってるから……」って言っちゃってる人が多いですよね。
そうじゃなくて、どんな時代にだってヒット商品はありますし。「自分たち」っていう商品がどれだけ他と違って良い物、面白い物を出せるかっていうのを、突き詰めたジャンルがヴィジュアル系だと俺は思うんです。
PVや動画がどんどん出せる時代に、ヴィジュアル系ってものは特化していかなくちゃいけないのに、ライブにしてもメイクにしてもみんなドンドン普通になっていっちゃうから。
結局ゴールデンボンバーが売れた理由って「ライブが面白いから」でしょう? 俺らが今メジャーでやらせてもらえてるのも、自分たちのことをライブバンドだと思っているからです。
ライブはフォトショップでは修正できませんからね(笑)! 視覚・聴覚・たまに嗅覚……ほら、衣装も臭くなるんで……(笑)。そういうのを含めたライブの総合演出というか、他のロックバンドが照明に凝ったりVJをいれたりしてますけど、俺らはそれに加えて化粧できますからね! 他のジャンルよりも武器がひとつ多いんです。それを思う存分生かせば、もっとやれるはずなのに。お客さんも見てて楽しいはずなのに。