日本の教育が、2020年に向けて大きな変化を迎えているのをご存じでしょうか。

その改革のなかでも、これからの時代に対応できる力として『21世紀型スキル』というものが注目されています。

文部科学省が発表した資料によると、情報創造力、批判的思考力、問題解決力、コミュニケーション力、プロジェクト力、ICT活用力などが、必要なスキルと言われているのです。

今注目の「探究系」教室ってどんなもの?

では、その力をどうやって育てていけばいいのでしょうか。

そのひとつの方法として誕生したのが、「探究系」の学習塾です。

たとえば、自分で課題を見つけ、その解決策を考える。テーマを決めて、様々な角度から切り込み、学んでいく。既存の「教科」にとらわれず、好奇心の赴くまま、深く広く探究していく……など、これまでの受験を目的とした進学塾とは異なる、まったく新しい学習塾です。

なかでも、三鷹市にある「探究学舎」は “子どもが夢中になる魔法の授業”として注目されており、夏休みなどに開催される短期講習は、すぐ満席になるほどの人気講座となっています。

はたして、どんなふうに探究していくのか。探究学舎の人気の秘密を、2日間にわたってじっくり体験してみました。

算数なのに歴史!? 始まりは古代エジプトから

今回参加したのは、夏期講習のひとつ「算数図形編」。小学4年生から中学生までを対象としたもので、図形の魅力をとことん探究していく2日間のプログラムです。

参加者は小学3年生から中学2年生までの全31人。関東近郊だけでなく、神戸や京都といった遠方からの参加者もいました。

初日の授業は朝10時半から。自己紹介と図形クイズで和気あいあいとした雰囲気になった後、先生の話は突然、古代エジプトの世界へ飛びました。

「え、算数なのに歴史?」と思う方もいるかもしれませんが、これが図形の魅力を紐解く、大きなカギだったのです。

「公式だから」は通用しない

探究学舎の特徴のひとつが、「公式をうのみにしない」こと。

たとえば、円の面積を求めるには、「半径×半径×3.14」という公式を、学校で教わります。でも、なぜこの公式になるのか。大人でも、スラスラ答えられる人は少ないでしょう。

探究学舎では、「なぜ、そうなるのか」を徹底的に考え、ひとつひとつ体験し、納得しながら進んでいきます。

当たり前のように覚えてしまう公式を「なぜ、そうなったのか」と、ひとつひとつ考えていきます。

一般的な算数の授業であれば、「長方形の面積は、底辺×高さ」で終わるところですが、探究学舎の授業は違います。

「昔の人は、どうやって畑の広さを測ったのか」

という問いから面積の求め方につなげていきます。

「図形の起源は、古代エジプトの畑の計測からだった」ということをここで子どもたちは初めて知ります。さらに数人のグループになって話し合いをし、自分たちなりの回答を見つけていきます。

今回の講師を務めるのは、探究学舎の代表でもある宝槻泰伸先生。

「自分で何が分かっていないかを知って、それを考えていく」がモットー。生徒たちに「どうしてこうなるの? 納得いく説明をして」と、何度も問いかけている姿が印象的でした。