「公式をうのみにしない。ひとつずつ考える癖をつけること」と話す宝槻先生。

カルタやゲームで高校数学を学ぶ

古代エジプトの「図形の起源」から始まったこの講座では、2日間にわたって、様々なアプローチで図形や算数を学んでいきます。教わっている子どもたちは、自分がどれだけ高度なことを習っているかという自覚はありません。

先生が次々と展開していく図形の話に魅入られて、どんどん新しいことを追求していきます。

子どもたちが夢中になった「図形カルタ」。「三方四面体」といった珍しい図形の名前と形をあっという間に覚えてしまいました。
「プラトン・チャレンジ」では、三角や四角の磁石ブロックをつなげて、正多面体はいくつ作れるかという実験を行いました。
円柱、円錐、球の体積を測る「アルキメデス・チャレンジ」。実際に、3種類の立体へ水を入れ、体積を比べてみました。

街に出て電信柱の長さをはかる!

探究学舎の授業は多岐にわたり、教室内だけに留まりません。時には屋外に出て、街にあふれている「算数」を見つけます。

今回は、角時計(ゴニオメーター)を使い、電柱の高さを測る挑戦をしました。ここで使うのが、習ったばかりの三角関数。小学生たちは、「サイン、コサイン、タンジェント」の歌を楽しみながら歌い、高校数学で習う公式を応用していきます。

初めて使う角時計にとまどいつつ、友だちと協力して、電柱の高さを測りました。

1日で円周率60桁を暗記!

保護者として講座を見学して思ったことが、「子どもののせ方、テンションの上げ方がうまい」ということ。1日数時間もの長い授業時間を飽きさせないよう、考えるだけでなく、手を動かし、バトルやゲーム、クイズ大会といった楽しい要素がたくさん盛り込まれています。

先生からのチャレンジやゲームでは、グループどうしでポイントを競い合うため、結束が高まり、仲間同士で助け合う場面も見受けられました。

そのひとつが、円周率暗記バトル。円周率1000桁が書かれた紙が渡され、短時間でどれだけ暗記できるかを競うものです。みんな手元のプリントを見て、ものすごい集中力で数字を覚えていきました。

円周率を暗記中。最初は10桁ぐらいしか覚えられなかった小学生が、周りの子たちに影響されてか、その後なんと1日で60桁まで覚えてしまいました。

朝10時半から16時半までとかなり長いように思えた2日間ですが、いざ始まると、あっという間に感じられました。なんと図形の発明に始まり、最終的には、三角関数や円錐の体積といった高校数学にまで到達してしまったのです。

けれど、参加した子どもたちも、見ていた親も、ものすごく難しいことを勉強しているという気持ちにはなりませんでした。

図形をとことんまで追求していったら、そこまで行きついてしまったというのが正直なところ。これが、探究学習のおもしろさなのだと感じました。

今秋からは土日の短期講座もスタート

探究学舎では、長期休暇のほか、平日にも同様の内容で通年制の講座を開催しています。また、遠方で毎週通えない人向けには、土日限定の講座も今秋よりスタートしました。

今回の「算数図形編」は小学4年生からが対象でしたが、ほかの講座などは小学生全学年が対象で、未就学児も参加しているそう。

講座のなかでも、特に人気の高い「戦国合戦編」。
兜を試着して、気分は戦国武将! 子どもたちのテンションが上がる「戦国武将編」。

大人気の「戦国シリーズ」のほか、「宇宙編」「元素編」「生命進化論」「人類進化論」といった魅力的な講座がラインナップされており、複数講座を受ける生徒も多いそうです。

また、進学塾に通いつつ、探究講座の講座を並行して受けている生徒もいます。

笑顔と笑い声がたえなかった、2日間の授業。先生と子どもたちとの真剣な掛け合いも見ものでした。

こうした、探究学舎で実践している学習方法は、今後ますます需要が高まっていくと予想されます。

これからの時代、技術が発達し、ネットでなんでも情報が入るようになったからこそ、「自ら考える」力というものが、改めて必要とされるからです。

だからこそ、保護者としては、勉強や学習方法についての悩みはつきません。

「これまでの学習方法でいいの?」「受験用の勉強だけではなく、もっと子どもが自ら考える勉強をさせるには?」

お稽古でもない、受験勉強でもない探究学舎で得られる体験は、子どもに考えることの楽しさや、新しいことを知り、さらに探究していくことの喜びを教えてくれる、大きなきっかけとなりそうです。

<参照>探究学舎