子どもの塩分量の気をつけ方
また、石原先生は、子どもがあまり食べない原因として、塩分も考えられると話します。
石原「食事をあまり食べないのは、もしかしたら塩気が少なくて、おいしく感じられていないからかもしれません。
逆に量を食べ過ぎてしまう子は、必要な塩分量を摂れるまで本能で食べ続けてしまっているのかもしれません」
子どもの一日の適切な塩分量はどのくらいなのでしょうか?
石原「子どもの一日の食塩摂取量の目標は『日本人の食事摂取基準』(厚生労働省)で定められています。1~2歳では男子3.0g未満、女子3.5g未満。年齢にしたがって増え、12歳以上では男子8.0g未満、女子7.0g未満で成人と同じになります。
なお、男女で異なるのは体格に差があるからです」
子どもの塩分量が現在、適切か判断する方法はあるのでしょうか。
石原「減塩にこだわる必要はありません。下手に減塩してしまうと、家の食事はほとんど食べないのに外食したときはたくさん食べてしまうとか、ポテトチップスを欲しがるとか、味の濃いジャンクフードが食べたいなどと言い出したりと、反動が心配です。
だからといって濃い味付けにしてしまうのは間違っていますが、大人の健康的な食事なら、子どもと大人は食べる量が違うので、それぞれの年齢で食べる量で、適量の塩分摂取量になるはずです。
塩分を欲している子どもは、例えば、お味噌汁をつくると『お味噌汁おかわりー!』とか『ごはんに黒ゴマ塩をかけてー!』『漬物だいすきー!』などと言い始めます。
これくらいを足してあげるのはまったく問題ないです。でも、家でジャンクフードを食べさせてしまうのはおすすめできません」
腸内環境を整えてハッピーホルモンを出す!
ところで、冒頭で紹介した調査では、「なかなか寝ない(46人)」「落ち着きがない(40人)」「癇癪(かんしゃく)を起こしやすい(27人)」という子の悩みを抱える親も多くいました。
それらの対策の一つとして、石原先生は腸内環境を整えることを勧めます。
石原「ハッピーホルモンといわれるセロトニンの9割は腸で作られるといわれているため、腸内環境を整えることもオススメです。
子どもに積極的に食べさせたい食品は、発酵食品と食物繊維。発酵食品から摂った良い菌を腸の中で育てるには、エサとなる食物繊維もしっかり摂ることが大事です」
子どもにおすすめの発酵食品
納豆、ヨーグルト、味噌、お酢
石原「発酵食品は、腸内環境を整えてくれることで自律神経や免疫機能への関与も期待できます。納豆とお味噌汁は毎日食べさせると良いですね。
お味噌は体を温める食品で、温かいお味噌汁で摂ると腸を温める効果もあって非常に理想的です。朝ごはんに取り入れるのが特におすすめです。
お酢も酢酸菌という、腸内細菌のエサとなる菌を腸に入れるためにぜひ摂りましょう。お味噌汁、牛乳にお酢ひとさじを入れることで毎日ちょっとずつ摂らせることができます」
子どもにおすすめの食物繊維豊富な食品
アーモンド、カカオ(ココア)、ユーグレナ
石原「アーモンドには、食物繊維のほか成長期に不足すると成長障害を起こすビタミンB2も豊富なことから、子どもにぜひ食べさせたい食品。カカオも食物繊維以外にも、ポリフェノールが豊富で、自律神経を整える効果があるといわれています。
ユーグレナは、ワカメや昆布と同じ藻の一種で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいる食品。子どもがユーグレナを含む飲料を摂取することで、便通の回数が増えたり、睡眠の質が上がったという報告事例もあります。
おいしく飲めるドリンクなら、野菜嫌いな子のビタミン・ミネラルなどの補給源としても利用できるでしょう」
子どもが好きなものしか食べない、野菜嫌いなどのほか、落ち着きや癇癪にも悩まされているなら、一度食事を見直してみるのも良いのではないでしょうか。
【取材協力】石原 新菜先生
医師・イシハラクリニック副院長/ヒポクラティック・サナトリウム副施設長/健康ソムリエ講師
長崎県生まれ。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすいキャラクターで、講演、テレビ、ラジオ、執筆と幅広く活躍中。著書は13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』等30冊を数える。
日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。二児の母。