突然ですが、一昨日の夕飯を覚えていますか? 一昨日のランチメニュー覚えていますか?
パッとメニューを思い出せない人はもしかして、特に感動はなく「機械的」に食事をしていたのかもしれません。『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』のノンフィクションのモデルの立石美津子がお話しします。
「一昨日の晩ごはん」を覚えていますか?
昨日の夕飯メニューは忘れても…せっかく作ったのに姑からネチネチ文句を言われた夕飯メニュー。元カレと初めてデートで行ったお店のメニュー。夫にプロポーズされたレストラン、そこで食べた甘い思い出のメニューを覚えている人も多いのではないでしょうか。
でも、一昨日の夕飯の内容を忘れているのに、どうして、うんと昔のことを何故鮮明に覚えているのでしょうか?
それは「食べる」というその行動に“感情、感動”が伴っていたからです。感情、感動というのは文句タラタラ言われながらとても不快な思いをして食べた気持ち、デートならばわくわく感、ときめき感だったりします。
「ご飯を食べたこと」を忘れてしまう
認知症の人は食事をしたことすら忘れてしまい「まだ朝食を食べていない」と言うことがあります。それなのに昔の楽しかった思い出やその頃、口ずさんでいた歌、また辛い記憶をいつまでも再現します。
それは“嬉しかった”“辛かった”“悲しかった”という感情を伴った記憶だから忘れることがないのです。
ちなみに「食事のメニューを忘れたからと言って“認知症”ではないそうです。食事をしたことを忘れるとその疑いがあるそうです。
短期記憶と長期記憶
昨晩の夕飯メニューはその直後は海馬にいったん記憶されますが、永久保存されず直ぐに忘れてしまいます。
でも、夫に何か文句を言われて辛い思いをしたときに着ていた夫の“服装、顔つき、その時の光景”はいつまでも忘れることができません。長期記憶として保存され、おそらく忘れることの出来ない光景となるでしょう。
海馬に常に思い出せる記憶として入るためには、海馬の横にあるタツノオトシゴのような形をした“扁桃体”という人間の感情を司る部分が働く必要があるそうです。
子どもに叱りながら食事をさせるのは
さて、子どもとの食事の時間は“楽しい時間”というよりも“躾なくてはならないことが満載”で親子ともストレスの時間になることも多くありますよね。
「好き嫌いしないで食べてほしい」「苦手な野菜を食べてほしい」と人参を細かく刻んでハンバーグに混ぜ込んで工夫しても、目ざとくそのオレンジの小さなカケラを見つけて、ベーッと口から吐き出したり…
せっかく苦労して作ったものに対して、こんな態度をされてしまうと、ママも頭に血が上って切れてしまうことがあります。
また、食事中は注意しなくてはならないことが山盛りです。
でも、子どもにとっては本来、楽しいはずの食事の時間も親からは
- 「好き嫌いしないように、残さず食べろ」と小言を言われる。
- マナー優先、スプーンやお箸を上手に使えないと叱られる。
- 手づかみしたら手を叩かれる。
- 「こぼさないように食べなさい」と何度も叱られる。
という状況になってしまいます。
幼い頃に毎日毎日これが続くと「食事は楽しくない、苦痛だ」と感じ、脳の奥深くに記憶されてしまうかもしれません。