©あべゆみこ

子どもが好き嫌いが多いと悩みますよね。「世の中には美味しい食べ物がたくさんあるのだから、まんべんなく色んなものを食べてほしい」と思います。でも、親が必死になることで、食事時間が子どもにとっては苦痛になってしまっていることはありませんか?

『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』の著者の立石美津子です。

「子どもに偏食があることを“この世の終わり”」のように感じてしまい、家でも保育園の先生に化してしまい、一生懸命になっている人がいます。

食事とは成長に欠かせない栄養を取り入れることだけではなく、毎日3回の生活の楽しみでもあります。けれども、躾が過度になると人間にとって一番重要な「食べる」ということが苦痛になってしまいます。

もちろん「好き嫌いしないで何でも食べる」「我儘は言わないで出されたものは何でも食べる」躾は必要ですが、食事で大切なことを忘れないように気を付けなくてはなりません。

偏食を治すのは母親の責任!?

 “「息子は就学前までご飯を食べませんでした。日本人なのにお米が食べられない。これは何とかしなければ。

偏食を治すのは母親の責任

そう思った私は綿密な計画を立てました。保育園から帰った一番お腹がすいているとき、ほんの一口からご飯を食べてもらう。

そうしたら、大好きなチョコレート。専門家の言う行動療法の真似ごとです。

しかし、息子は、保育園からの帰り道、家が近づくにつれ大泣きするようになりました。あげくのはてに保育園に迎えにいった私の顔をみるなり、先生にしがみ付いて離れません。こうなると、どうしようもなくギブアップ

そんな格闘を何回か繰り返し、すっかり諦めたころ、買い物に行ったスーパーでの出来事

ふと振り返ると、試食販売のおばさんから何か渡されています。しかも、パクッと食べました。それはふりかけの試食販売でした。

小さなカップに一口大のご飯を入れふりかけをかけたもの。確かに、確かに息子は食べました。そしてその日の夕食からふりかけ御飯が大好きになったのです。

期待も押し付けもしないの、ちょっと太った試食販売のおばさん。私はそんなお母さんになろうと思いました。

障害のある子の親はついつい専門家もどきになってしまう。でも、親が専門家になってしまうと子どもには親がいなくなる。障害のある息子と向き合ったとき、私はやっぱり親でいたいと思いました。

…中略…

親は親以上でも親以下でもない。親だからできることもあり親だからできないこともある。それでいいのだと思うのです。“

出典(『障害の子の親である私たち』生活書院 福井公子 p62)