子どもはほめて育てるのがよいとは知りつつ、どうやってほめたらいいのかわからないというママは多いのではないでしょうか。
子どもの脳は、親との愛着次第で育ちもすれば、変形もすると説く『実は危ない!その育児が子どもの脳を変形させる ほめ育てで脳は伸びる』(友田明美 著)を参考に、子どもの脳を育てるのに最適なほめ方7選をお届けします。
また、親として知っておきたいこととして、マルトリートメント(不適切な養育)について、子どもをほめることを難しくさせている現代の子育て事情などについても触れていきます。
子どもの脳にダメージを与えるマルトリートメントとは?
過去にこちらの記事でもご紹介したマルトリートメントですが、あらためてご説明すると、マルトリートメントとは、不適切な養育と訳され、内容によって以下の5つのタイプに分類されます。
1.身体的なもの
いわゆる体罰をはじめ、身体を叩いたり、殴ったり、蹴ったり、髪の毛を引っ張ったりすることが、これに当たります。
親によってはしつけのつもりでやっている場合もあるのでやっかいですが、過度な体罰は感情や思考のコントロールを司る前頭前野の一部を委縮させたり、集中力や意思決定、共感などに関係する前頭葉の前帯状回の萎縮も引き起こすといいます。
さらに、度重なる痛みから回避しようと、痛みに鈍感になるよう脳が変形することもあるのだとか。
2.心理的なもの
「ダメな子だね」「あんたなんか産むんじゃなかった」「どうしてできないの」など、言葉で子どもを傷つけることがこれに当たります。
言葉による暴力の方が、身体への暴力よりも、脳のダメージが大きいということは、忘れてはならないことです。身体の傷はいつか消えますが、言葉で傷つけられた心はいつまでも消えず、こじれていく可能性だってあります。
心理的マルトリートメントで脳が受けるダメージは、聴覚野の一部の肥大で、これによって聞こえや会話、コミュニケーションがうまくいかなくなることがわかっているそうです。
3.面前DV
子どもの前で激しい夫婦ゲンカをすることも、マルトリートメントに当たります。暴力のDVを伴わずとも、口ゲンカであっても子どもの心は傷を受けます。たとえ両親がケンカすることに慣れっこになっている子どもでも、それは同じです。
このことで子どもの脳の視覚野が委縮し、他人の表情が読めず、対人関係がうまくいかなくなることがあるそうです。
4.ネグレクト
食事をさせない、お風呂に入れない、子どもそっちのけでスマホやゲームに興じるなど、広い範囲で子どもに必要な養育を与えず放置することをいいます。
ネグレクトを受けた子どもの脳は、喜びや快楽を生み出す線条体の働きを弱め、左右の脳をつなぐ脳梁を委縮させます。
5.性的なもの
身体を触る、性行為を強要するといったことのほかにも、性器を見せる、嫌がる子どもとお風呂に入る、性行為をみせるといったことも、性的なマルトリートメントに含まれます。
見たくないものを見えないようにするためにか、こういったマルトリートメントを受けた子どもの脳は、視覚野が委縮します。
孤独な子育てがマルトリートメントを助長する?
どんな親でも我が子のためを思い、日々子どもと接していますよね。それが行きすぎたり、なにが子どもにとって最も適切かの判断が狂ったりすると、どんな親でもマルトリートメントをしてしまう可能性はあるし、実際にしてしまっているのではないかと思います。
さらにもうひとつ踏み込んで、友田さんは、「子育てがマルトリートメント化しやすい大きな原因は、親のストレスやプレッシャー」と指摘しています。
たとえば、夫婦ゲンカをした後に、普段なら子どもにきつく言わないようなことを言ってしまう、ということは、誰しも心当たりがあることなのではないでしょうか。
そんな時、たとえば誰かに愚痴を言えたり、慰めてもらえたら、夫婦ゲンカのショックも和らいで、子どもに八つ当たりすることもなくなるかもしれませんね。
「孤育て」が増えている現代の日本では、なかなか他人と一緒に子どもを育てるという意識を持つことは難しいと感じるママがまだまだ多いのでしょう。
ですが、子育て支援センターや、親子サロンなど、横につながって育児をしようという動きは出てきていますし、すべてを自分でやることを手放すことで得るものが多いと実感するママも増えてきていると思うので、時代が「孤育て」から「共同子育て」に向かっていると信じたいものです。