子育てをするパパママにとって、ふとよぎる教育費の不安。
高校や大学、大学院の学費はもちろんですが、受験にかかる塾の費用などを考えたら頭がいたい……なんて、まだ子どもが小さな時から悩んでいる親は多いはず!
「できれば自分自身だけで勉強することで良い大学に入学してくれないかしら?」と考えても、「そんなことは夢のまた夢」と最初から諦めている人もいるのではないでしょうか?
今回は、慶應大首席弁護士であり、『超難関校に「独学で合格」』の著者・佐藤みのりさんにインタビュー。
慶應義塾大学はもちろん、ロースクール、司法試験も独学で合格したという佐藤さんの独学力を生み出し、支えたご両親の教育方針とは?
佐藤さんの両親はいい意味で期待をしていなかった
ーー佐藤さんは、とくに予備校や塾に行くことなく、慶應義塾大学や司法試験に合格されたとのことですが、大学や司法試験を受験することをご両親に話した際の、ご両親の反応はどんなものだったのでしょうか?
佐藤みのり(以下、佐藤)「うーん……。とくに反応という反応はなかったです。『あぁ、そうなんだ〜。ふ〜ん』という感じで(笑)
うちは父も母も、本人のことは本人におまかせというスタンスでした。これは私だけではなく、妹の大学受験の時もまったく同じ反応でしたね。
父と母は、人生において夢を持ってそれに向かって何かしていたということがなかったようで、ゆえに娘たちに対してもあんな風にしてほしい、こんな風になってほしいという願望がなかったみたいです。」
ーー確かに、自分が何か熱意を持っていたものがあったら、子どもにも同じようになってほしいとか、同じことをしてほしいと子どもに期待をかけてしまいそうですね。
佐藤「そうですね、確かに子どもに対して親がものすごく熱心に何かしてあげる家庭も多いですよね。
うちの両親は、とりあえず健康に育ってくれればあとは何も期待していなかったんでしょうね(笑)
でも、逆にもしダメでも、私や妹を責めるような言動をとったことは一度もなかったですし、私自身、司法試験に挑み自分自身でプレッシャーをかける中で、親からの余計なプレッシャーを感じることなく過ごせていました。
そのスタンスは今でも心の支えですね。」
目標に向かう佐藤さんに両親がしてくれたこととは
ーーなるほど! 何も言われなかったことが逆に心の支えになっていたのですね。佐藤さんに何も言わなかったご両親ですが、目標に向かっている佐藤さんに対して何かしてくれていたことはありますか?
佐藤「まず、父は私たちが何かをしたいと言った時にお金の心配がないように働いてくれていた、ということと、母は、家事全般をやってくれていたことです。
と、言ってもふたりとも『子どものために!』とそれぞれの仕事や家事をやっているというよりは、家庭での役割をきっちり遂行している、という感じでした。
私は、掃除も洗濯もご飯の準備も、働き始めるまでやったことがなかったんです。それは全部母の役割で、私や妹の役割は、勉強だったり学校生活だったり、自分のすべきことに向けられていたので。
それが結果的に、勉強に集中できる環境作りにつながっていたと感じています。
もちろん、現在は共働き家庭も多いですし、うちの家族はたまたまこのやり方がハマっただけという可能性もあると思うので、一概にこうすべき!とは思わないです。
子どもの意志を尊重しつつ、家族がそれぞれのやるべきことをやっていけば、その家庭それぞれで最善の形に向かっていくのではないかなと思っています。
あとは、私自身が勉強に対して不安になった時に、母がずっと話を聞いてくれていたことですかね。
私はどちらかというと、自分自身に対してプレッシャーをかけてしまうタイプだったので、母に話を聞いてもらうことによって、スッキリしてまた勉強に集中できるという場面がたくさんありました。
ーー話を聞いている時、お母様から「あなたならできるよ!」というような励ましもあったのですか?
佐藤「それが、そういった言葉はあまりかけられたことがなくて、本当にただただ話を聞いてくれているだけでしたね。
たまに『大丈夫じゃない?』みたいなことは、言うんですが、なんだか軽い感じで(笑)。父も母も、あまり重く捉えていなかったんでしょうね。
ただ、そういった軽さが、自分自身を追い込んで物事に向かう私としては、心のバランスが取れる要因になっていたのだと思います。
『あなたならできるよ!』という言葉も、やはり期待が込められた言葉だと思うので、その言葉がけをされていたらやはりプレッシャーになっていたと思いますし。」