ロールモデルは探す時代
――娘さんに生き方について、伝えるようになったのはいつからですか?
「ずーっとブツブツ言ってたんですよね。またカネカネ言ってるって、子どもには言われましたけど(笑)」
――本には小学生だった娘さんと同級生の会話のエピソードが載っていましたね。
「娘が同級生に“うちのお父さん社長なんだ”って言われて、あたしが“うちはお母さんが社長だよ”って言ったら、うれしそうにしていましたね。
今は娘は反抗期に入って、まったく口聞かなくなっちゃったんですけど、大学は行きたいと言ってるんで、そんなにあたしのことが嫌なら一回離れた方がいいから、出てっていいよ、アパート代は出すよ、とは伝えてあります。反抗期になったらもう何を言っても耳に入りませんから、それでこの本を書いたんです。
まあ、2、3回くさいちんぽをくわえた(つまんない男につかまった)後にでも読んでねって」
――専業主婦願望を持つ若い女性についてですが、おそらく彼女たちの一番身近なロールモデルが専業主婦の母親だったのではないか、と思うんですね。自分の母親がそうだったから、自分もそれで大丈夫だろう、と。
「平和でしたね。平和な昭和の時代は長すぎました」
――かたや、サイバラさんの娘さんにはサイバラさんという強力なロールモデルがいた、ということになると思います。
「昭和の頃っていうのは、見本にするような女の人が少なかったんですよね。
今、そこらへん探せばいっぱいいますよ。体一つで海外に出たり、起業したりするような女性が山ほどいますし、共働きで手堅く稼ぐ女性も実に増えたと思います。
離婚しても何も言われなくなりましたし、離婚しても実家に戻れないということもない。時代は本当によく変わっていると思います。選択肢は非常に増えていますから、そこは自分で外に出るしかないですね」
負のスパイラルを断ち切るのは自分
「もし旦那さんが健康でしっかりお金を入れてくれて、幸せな結婚をしている人だったら、それは娘にもその道をすすめるのは当たり前でしょうし、その人たちの人生を否定するつもりはありません。
でももし、別れたいけど別れられないって言っている人がいるなら、これを読んで、次の世代の娘たちがいつでも離婚できる力を持てるように教えてあげてほしいです。“今は別れられない”、この愚痴を言う人があまりに多くて、そんな人は一生別れられません。
子どもが小さいから、学校があるから、いろいろ理由を並べて別れられない。四十過ぎてもそんなことを言っているようなら、そんな人生は失敗です。一生他人を呪って生きていくしかない。
でも、子どもをそんなふうにしたくなかったら、子どもにはせめてそうならない選択肢を教えてあげてほしいです。一生子どもに愚痴だけ言って終わるつもりですか?
うちの母親もよく言ってました。あんたたちのために別れられないんだって」
――それは子どもにはきついですよね。
「自分の人生の愚痴を子どもにだけは植えつけない。それだけはやめましょうねって言いたいです」