日本酒の美味しさに目覚め、全国各地の酒蔵を訪ね歩き、今では日本酒造りを行うほどその文化に造詣を深めているEXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチさん。
「全国をツアーで回る際に、その地で作られている日本酒について学びたいと思い酒蔵を訪ねさせていただいたのがそもそものきっかけです。
いずれの酒蔵も日本酒に対して熱い思い想いとプライド、そして歴史を背負って醸造されていて、その姿に僕も心を動かされて酒造会社さんとのコラボレーションにも取り組んできました」
自ら酒蔵に連絡をし、一から学ばせてもらうという姿勢で田植えから関わるなどしてきた彼は、新政酒造を始めさまざまな人気酒造とコラボレーションを行ってきました。
そして今年は福岡県の白糸酒造(しらいとしゅぞう)、奈良県の油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)の2酒造と日本酒造りを行い、12月24日(金)には油長酒造とのコラボ日本酒『風の森橘 feat.農家酒屋杉浦農園』がリリースされることとなりました。
さらに2022年1月7日(金)からは、自らメニューをプロデュースした『〈橘〉×越前福井フェア2022新春』もLDH kitchen運営の居酒屋三盃にてスタートします。
今回はそんな日本酒への並々ならぬ愛情を持つ橘さんに、年末年始に飲みたい日本酒とペアリングしたいメニューを教えていただきます。
「日本酒はお酒を選ぶという点においてもハードルが高いと思われがちなんですよね。最初は僕もそういう印象でした。でも、例えば季節に合わせた日本酒を選ぶのもひとつです。
夏は”冷酒”が楽しめるし、秋になれば”ひやおろし”、冬になると新種のシーズンを迎えて…と時期に合わせて選ぶのもいいですし、もちろんジャケットでCDを選ぶように、日本酒のラベルで選んで新しい出会いを楽しむのもいいです。
それに今回のペアリングのように、その日に食べる食事に合わせたお酒を酒屋さんに選んでもらうのもいいですね。
日本酒は和洋中問わずどんなお料理にも合う懐の深いお酒です。お酒を口に含み、食事と混ぜ合わせることで、最初に口に入れた時とは趣が違う表情を見せてくれます。
この魅力を感じてもらえれば嬉しいですね」
橘ケンチおすすめの日本酒&料理のペアリング5選
常山 純米大吟醸×越のルビー土佐酢漬け
福井県が誇るブランドトマトの越のルビーは驚くほどの甘みがあります。
この甘みに加え、土佐酢の酸味が口に広がる爽やかな一品です。
そんな豊かな風味の料理に合うのが、「常山 純米大吟醸」です。
トマトと同じ福井の酒蔵が作る日本酒で、フルーティーさを感じさせながらも切れ味が良く、トマトの旨味の余韻を楽しむことができます。
<レシピ>
- 越のルビーを湯むきして、ひと晩ほど土佐酢に漬け込む。
- 越のルビーの上に甘酢生姜の千切り、大葉の千切り、糸がきをそれぞれ乗せる。
5013橘×せいこがにのグラタン
越前がによりひと回り小さいメスのかにを「せいこがに」と福井では呼びます。
蟹とグラタンの乳製品から感じる甘みと旨味を引き立てたいと思ったので、「5013橘」を合わせました。
このお酒は僕が福岡県の白糸酒造とコラボレーションをして作らせていただいたもので、日本酒ではなかなか使わない白麹を使用して醸造したものです。
ほどよいバランスの酸に加えて膨らみや複雑さを感じることができる、想像以上に出来の良いお酒になりました。
こっくりとした甘みを「5013橘」がより一層際立たせてくれると思います。
<レシピ>
- せいこ蟹がにとベシャメルソース(ホワイトソース)でグラタンを作る。
- 1を殻に詰め、チーズを乗せてこんがり焼いたものに仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らして完成。
黒龍 純米吟醸×黒龍吟醸豚メンチカツ地がらし添え
福井を代表する酒蔵である黒龍酒造のフラッグシップ商品ともいえる「黒龍 純米吟醸」に合わせるなら、その黒龍の酒粕を食べて育った豚で作ったメンチがぴったりだと思います。
豚肉の脂の甘みと旨味が、黒龍の爽やかさと華やかな香りと交わり合い奥深い風味に。
メンチに添えた福井の地がらしの優しい辛味の後味と、黒龍の爽やかさが相まって、メンチの油っこさを和らげ、最後まで美味しくメンチカツをいただくことができます。
<レシピ>
- 黒龍吟醸豚でつくったメンチカツを揚げる。
- 1の油を切り、地がらしとソースを添えていただく。
新政No.6 R type×とみつ金時の唐揚げ
秋田を代表する新政酒造が唯一作っている生酒「新政No.6 R type」。
No.6というのはこの日本酒に使われている「6号酵母」を表しています。
より美味しい日本酒を全国で作ろうと日本醸造協会が頒布している酵母なのですが、この6号酵母の発祥蔵が新政酒造なんです。
「新政No.6 R type」はこの酵母の魅力をストレートに伝えられるように作った無殺菌で酵素も失活されていない生酒です。
それに合わせるのは、しっとりほくほくとした食感が特徴の福井県あわら市のブランドさつま芋のとみつ金時。生酒ならではのフレッシュさが、サッと揚げたさつま芋の甘みを引き立たせてくれます。
<レシピ>
- とみつ金時を焼き芋にする。
- 1をひと口大に切り、素揚げにする。
- 2に塩を添えていただく。
風の森 山田錦807×いかへしこのペペロンそば
日本清酒発祥の地とも言われる奈良県の油長酒造が作る「風の森」。
日本酒を醸造する際には原料となるお米を精米し、糠と米に分けます。
このお酒は米の2割だけを削った低精白のお酒なので、しっかりとした味に加え、果実感のある酸味と甘み、そしてほのかな発泡も感じられます。
福井の伝統食「へしこ」と「山うに」をアクセントにした和風ペペロンチーノを、まるでスパークリングワインを合わせているかのような感じで味わってもらえるはずです。
<レシピ>
- そばつゆを好みの味に豆乳で伸ばす。
- そばを茹で、オリーブオイル、イカへしこ、にんにく、鷹の爪で作ったオイルに合えて器に盛り、1をかける。
- 2に小口切りにしたねぎ、山うにを乗せる。