竹の束で覆われている『縁切榎』。現在の榎は三代目。初代は道路の向かい側にあった、旗本・近藤登之助の抱え屋敷の垣根の際に生えていたとのこと

樹皮を煎じて飲むと願いが成就する

縁切榎は、「男女の悪縁を切りたい」「お酒を断ちたい」などのときに、榎の樹皮を煎じて密かに飲ませると、願いが成就すると言い伝えられています。

現在は、木が弱ってしまうからか、樹皮を削ぎ落とせないように、竹の束で覆われています。隙間からのぞき込むと、削り取られた樹皮の様子が見えました。

たまたま居合わせた初老の男性に話を聞くと、「自分はテレビで知ったが、そういえば祖母が昔、縁切榎の話をしていたのを思い出した」と話してくださいました。親戚が離婚問題で揉めたときに、「だったら縁切榎だ」と言ったというのです。古くから信仰を集めていた事実がうかがえます。
 

悪縁を絶ち切り、良縁を結ぶ

近代以降は悪名ばかりでなく、『悪縁を絶ちきり、良縁を結ぶ』と信仰を集めており、

「祖母の足の痛みを断ち切ってほしい」
「貧乏と縁を切りたい」
「病気と縁が切れて健康になりますように」

などの願掛けも見られました。中には、「不登校さようなら!!」といった前向きな印象を受ける絵馬も目にできました。

願掛けで奉納する絵馬は、2個1組1000円で、周囲にある『長寿庵』『八百善』『大口米店』の3カ所で購入できるそうです(2013年3月時点)。

どうしても断ち切れない悪い癖や、病気がある方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。神仏なんか信じないという方も、決意を形にして奉納しておくのは、心を強く保つために役立ちそうです。