『人魚姫』のような遠回しな言動は成功率を下げる!?

『人魚の姫-アンデルセン童話集 1』 アンデルセン(著)、矢崎 源九郎(翻訳)
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ここ数年、1988年生まれ以降の「ゆとり世代」が続々と社会人の仲間入りを果たしている。「先輩や上司の言葉には反発心を抱きやすい」とも言われている彼らとどう付き合ったらいいのか、頭を悩ませている人も少なくないだろう。ゆとり世代の後輩や部下を指導するとき、上手な言い回しはあるのだろうか?

「ゆとり世代が先輩や上司の言葉に反発心を抱きやすいというのは大きな間違いです。私はこれまでゆとり世代と数多く接してきましたが、彼らはストレートな言葉でも、ちゃんと話を聞いてくれます。むしろ、遠回しな表現はNG。『人魚姫』の物語では、声と引き換えに人間の足を手に入れた人魚姫は、王子に想いを伝えられずに泡となって消えてしまいました。それは、彼女がストレートに愛を伝える勇気を持たなかったから。もしも人魚姫が身振り手振りででも、王子に“好きだ”と想いを伝える勇気があったなら、ハッピーエンドを迎えることができたかもしれません」

ゆとり世代とうまくコミュニケーションを育めないのには、彼らと接する側に問題があると千田さんは指摘する。

「ゆとり世代に嫌われたくないからとグジグジ悩んで、先輩や上司は遠回しな言葉を選んでしまいがちです。それでは想いを伝えられずに、ゆとり世代の成長やプロジェクトの成功を遠ざけてしまうだけです。彼らに媚びる必要はありません。彼らに媚びない私の著書や講演会は、ゆとり世代からも支持されています。本当に相手のことを思っているのなら、ストレートに叱ることが愛です」

後輩や部下に嫌われることを恐れて遠回しな言葉を選んでしまうのは、きびだんご(優しさ)だけで実力がないことを隠そうとしているだけなのかもしれない……。

千田琢哉さん

今回紹介した4つの童話のほかにも、千田さんの著書『仕事の答えは、すべて「童話」が教えてくれる。』では、20の童話と、そこに凝縮された「仕事の答え」が書かれている。後輩や部下との付き合い方に悩んだときや、仕事で失敗したときにこそ、本書から学べることは多いと千田さんは話す。

「なにもせずに一万冊のビジネス書を読むよりも、仕事で失敗したときに出会った一冊の方が深く、さまざまなことを学ぶことができます。たくさん失敗した人はもっとたくさんの本を読んで、“本物の勉強”をしたくなるはずです。童話や哲学書、マンガなど、どんな本も物事も教材になるのが“本物の勉強”です。たくさん失敗をして、たくさんの本を読み、たくさん挑みましょう。その方が絶対に人生は楽しいです」

童話を読めば、後輩や部下との関係も楽しいものへと変えられるかもしれない。童話を読みながら、今日一日の仕事を振り返ってみてはいかがだろうか?