人気の「ミルクフランス」も、かなりユニーク
あちこちのパン職人がこのパンを焼いているけれど、野口シェフの「ミルクフランス」(250円)はかなりユニーク。
バゲット生地にマッシュポテトと牛乳を練りこんでいるというのだ。
そのマッシュポテトも加熱済みのジャガイモをプロセッサーで粉砕して作った自家製を使用。歯切れのよいバゲットに、練乳とバターで作ったミルククリームをはさんだ。なめらかな口あたりと甘いミルククリームに思わず笑みがこぼれる。
「オレンジとカカオニブ」(260円)。ペイザンヌと呼ばれる高加水の生地にカカオニブのほか、オレンジピールとグラン・マニエ(オレンジ・リキュール)を練りこんだ一品。
高加水のパン特有のもちもちとした歯ごたえに加え、オレンジの香りがこたえられない。
先の4種類のパンやバゲット、クロワッサンなどはカウンターに並べてある。一方、食パン類はレジ脇の棚に置かれている。そのなかから野口シェフが最後のひとつを選んでくれた。フランス風食パン「パンドミ」(500円/半分260円)だ。
「自家製酵母を長時間発酵させた、しっとりとしていて、もっちりとした食感が特徴です」
当日と翌日はスライスし、そのまま食べるのがいちばんだそうだ。
「少しぱさついてきたらトーストしてください。お好みでバターやコンフィチュールを付けてもいいと思いますが、私はそのままが好きです」
帰宅後さっそく食べてみた。シェフがいう通り、しっとりとした味わいで、噛むほどに甘みがでてくる。
翌朝トーストし、バターをぬってみたが、そのままのほうが断然うまいと思った。これまで食べてきた食パンはトーストし、バターをぬったほうがうまいもののが大半だった。けれど、『根津のパン』の「パンドミ」はなにもつけないほうがおいしかった。