3日目 温泉宿で仕事
5時少し前に起床。脳はまだ半分眠っている。酒も残っている。昨夜は宿に戻ってから湯につかり、刺身をつまみにワインを半分空けた。
地下1階まで降りて一番風呂に入る。身体がほぐれ、リラックス状態になる。このまま仕事に取りかかる。ではなく、温泉の湯気をまとった状態で二度寝する。
一時間半ほどして目覚める。熟睡感がある。1階の食堂で朝ごはんを食べ終わると、この日もロビーにいた番頭さんがコーヒーをすすめてくれた。今日は地元のお知り合いの方も一緒だ。地方紙の偉い人らしい。
このときわかったのだが、コーヒーをいれてくれたのは番頭さんではなくオーナーだった。失礼しました。オーナーから磐梯熱海温泉の歴史や金山の話を聴きながら濃いコーヒーを飲んでいたら心身が完全に覚醒した。
時刻は8時。早起きはいい。仕事がしたくなってきた。
畳の上で仕事。ランチは熱海駅前で
どこでやっても仕事は仕事なのだが、畳の匂いがする部屋でキーボードを叩くのはなかなか新鮮だ。国内出張や韓国出張ではビジネスホテルに泊まることが多いので、ベッド脇の奥行のないカウンターで仕事をするのだが、あれと比べたら天国である。
集中力が途切れたら布団の上に横になる。窓を開けて澄んだ空気を入れる。温泉に入ろうと思えばいつでも入れる。
ソウルに住む著者から送られてきたweb用原稿を3本整理していたら11時になっていた。朝、宿のオーナーに「あとで観音様を見に行きましょう」と言われていたので、お言葉に甘えてクルマで連れて行ってもらった。
観音様を拝んだ後、熱海駅で落としてもらい、その日は営業していた食堂で刺身丼を食べ、近くの観光物産館で今夜の酒とつまみを買った。今日は仕事と風呂と酒の日にする。観光は観音様のみ。
夕食は宿で
その日にやるべき仕事は17時には終わってしまった。平日だから、あたりまえのことをしたに過ぎないのだが、温泉場にいるのにまじめに働いたことで自己評価は急上昇だ。
自分にほうびをあげたくなる。一度くらいは宿メシをいただかなければと今日は夕食を予約済みである。夕食前に湯につかり、食前酒として冷蔵庫で冷やしておいた地元のクラフトビールを開ける。
夕食時はオーナーがわざわざ食堂まであいさつに来てくれた。いつも上機嫌で本当に快活な人だ。私のテーブルを去るときは「それではごゆっくり」と深々と頭を下げる。
客とはいえ、ひと回り以上も年下の私に丁寧に接してくれる。自分は年下の取引相手や友人知人にこんなふうにできているだろうかと我が身に照らし、恥ずかしくなってしまった。
食後は部屋でひと休みして、もう一度湯につかり、ワインを飲んでいたらうとうとする。二度寝したとはいえ今朝は5時起きである。
この日は堂々たるワークの日だったと言っていいだろう。