4日目 再訪を誓う

最終日も朝も5時前に起きて一番風呂に入る。部屋に戻り2時間ほど仕事をして朝食へ。この日もロビーでコーヒーをいただいていると、前の日から泊っているオーナーの友人Kさん夫妻の話を聞くことができた。

Kさんは長らく事業をやっていたが、身体を壊したことをきっかけに美大で絵の勉強を始めたという。Kさんの絵はロビーに飾ってあるので、水林亭を利用する人はぜひ見てほしい。福島の山々を生き生きと描いたもので、題名は「早春」だった。

私も50代後半なので、これから何を軸にして生きていくかについては思うところがある。旅館のトップであっても常に現場に出てお客さんと接する水林亭のオーナー。

そして、ビジネスとは縁を切り、芸術の道を歩くKさん。70代に入っているが、二人とも目がキラキラしているのが印象的だった。

オーナーの好意に甘えて磐梯熱海駅までクルマで送ってもらった。次回は昭和の日本三大金山のひとつといわれた高玉金山を案内してくれるという。たとえ福島県の支援がなくてもかならず再訪すると約束して磐梯熱海駅から磐越西線に乗り込んだ。

東京や埼玉に住む者にとって、福島は理想的なワーケーション先だろう。栃木や群馬では近過ぎるが、福島まで来れば旅の気分も上がる。それでいて大宮から新幹線で1時間弱なのである。

仕事がいつも以上にはかどるかどうかは保証できないが、コロナ下で縮こまってしまった心と体を解放できるなら大変有意義だと思う。

今回のような自治体によるワーケーション支援以外に、最近、ホテル業界が長期滞在型の低価格宿泊プランに力を入れ始めている。一度、チェックしてみるとよいだろう。

※参考:ふくしま「テレワーク×くらし」体験支援補助金

1962年生まれの編集者。株式会社キーワード代表。ウレぴあ総研に寄稿中のチョン・ウンスクと光瀬憲子の著作の企画編集を担当。編集作品に、『図解 儲けのカラクリ』(三笠書房)、『知識ゼロからの仏教入門』(幻冬舎)、『旅と酒とコリアシネマ』(A PEOPLE)、『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』(双葉社)など。著書に『47都道府県 ケンミン性のヒミツ』『県民性の謎がわかる本』(いずれも幻冬舎)。