ドラマやK-POPの聖地巡礼、ミュージカル鑑賞、語学のブラッシュアップ、食べ歩き、街ブラなど、韓国旅行は多様化する一方だ。
それぞれの目的のための効率優先の旅もよいが、韓国↔日本の移動をじっくり楽しむ旅もおもしろい。
今回から2回に渡って、瀨戸内海と玄界灘をゆっくり移動しながら大阪⇔釜山の船旅を楽しんだ韓国旅行リピーターのクルーズ体験記をお送りしよう。
15時、大阪南港発。瀬戸内海を横断、玄界灘を北上して翌10時に釜山港へ
仕事でちょくちょく韓国には行くが、純粋な旅行をしていないことに気づき、友人を誘って釜山に行くことにした。
ただ行くだけではおもしろくないので、飛行機ではなく船を選んだ。首都圏から韓国に行く船はないので、大阪↔釜山の定期航路「パンスタークルーズ」の一択だ。
USJからそう遠くない南港を15時に出る船は瀬戸内海をゆっくり西へ進む。翌日の明け方、関門海峡を抜けて玄界灘を北上。左手に対馬の島影を見ながら進み、午前10時頃、釜山港に着く。
関東に住む者にとって瀬戸内海横断は貴重な体験だ。
映画『男はつらいよ』46話で寅さん(渥美清)の甥(吉岡秀隆)が就職試験に絶望して家出し、夜行列車と船でたどり着いた島(志々島、高見島で撮影)で小さな漁船に乗って瀬戸大橋をくぐるシーンを思い出す。
新大阪駅で新幹線を下り、御堂筋線で本町駅まで行き、中央線に乗り換えると、大阪南港のあるコスモスクエア駅まで行く。所要40分。駅から無料のシャトルバスに乗れば、南港のターミナルまで5分ほどだ。
南港のターミナルではパンスタークルーズの窓口で乗船手続きを済ませ、出国審査場でパスポートとチケットを見せるだけ。荷物検査もないので、バスに乗ればあっというまに乗船できる。
今回はツインタイプの個室を選んだが、往路(大阪→釜山)と復路(釜山→大阪)では相棒が違う。往路の相棒A、復路の相棒Bはともに会社員なので時間に余裕がなく、片道は飛行機を選んだのだ。
筆者はこの船に乗るのは3度目なので気づかなかったが、相棒Aが「船内の匂いがすでに韓国ですね」と言う。
パスポートとチケットを見せてルームキーをもらうカウンターのあるフロアには、夕朝食をとるビュッフェレストランがあり、調理場から韓国料理の香りが漏れてくるからだ。
部屋に入って荷物を降ろしていると、特別なアナウンスもなく船が動き始めた。