負ける経験がなければ、「勝てる場所」は見つからない

――「勝てる場所で勝負する」というお話がありましたね。その場所を見つけるにはどうしたらいいのでしょう?

「これもできるんじゃないか、あれもできるんじゃないか」と頭で考えているうちはダメですね。いろんなことをやって、負ける経験をしないとみつかりません。でも、今の若者は、失敗を怖がる人が多い。自信がないのも理由のひとつでしょうが、時代にも問題があります。次のチャンスがなかなか得られず、将来の展望が抱けない社会の中で「萎縮するな、元気を出せ!」というほうが無理な話。振り返れば、自分が若いころにムチャクチャなことをやっていられたのは、明日に希望を持てるような社会を上の世代が用意してくれていたからかもしれません。そういう意味では、今の若者は気の毒だし、上の世代として申し訳ない。

ただ、厳しい時代と言えども、やっぱりみんな若い人のミスには寛容です。「失敗したら終わりだ」と思い詰めて縮こまるのはどうかな、とは思いますね。どんな時代でも、人生の選択肢は「勝負に出て、イチかバチかの生き方をするか」「勝負せず、ローリスクローリターンで生きていくか」の2つ。個人的には「1回きりの人生、派手に勝負しようぜ」と言いたい。僕の仕事を手伝ってくれているスタッフには「若いくせに貯金なんて考えるな、全て使ってこい、何なら借金抱えてもいい、おまえらなら返せる!」なんて言っています。彼らは有能なので、何があっても絶対に大丈夫だと思うんですよ。僕の言葉を聞いて、彼らも「たとえ失敗しても、俺なら巻き返せるな」と、動きが少しずつ「派手」になってきていますね。喜ばしいことです。

ただ、飛び抜けて能力のある人がほんの一握りであることは事実。僕は今まで行方不明になった奴を何人も見てきたので(笑)、強く押し付けるつもりはありません。結局のところは、自分で納得できる道を選ぶしかない。自分の資質を見極めて、必要な場面で勝負をするのがいちばんでしょう。
 

歴史から「負け方」を学び、反面教師にすべし

――いざという場面で勝負するため、意識すべきことは?

若くても、どんな時代でも、覚悟だけは持つべきです。今の若者は、ちょっとそこが弱いですね。その原因の一つは、歴史観の欠如ではないでしょうか? 歴史を見ると、今のように閉塞感のある時代は過去に何度もありましたが、先人はみな、覚悟を持って乗り切ってきました。歴史を学び、その感覚を養うことが重要だと、考えています。

そのときに意識したいのは、勝者ではなく敗者に注目すること。敗因には普遍性があり、敗者は負けるべくして負けています。決断力のなさ、情報収集の甘さ、慢心など、反面教師として学べる点が多いのです。
 

『戦略的思考とは何か』
岡崎 久彦(著)
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僕自身も、若いころから歴史を支えにしてきました。例えば、自分が悪い状況に陥ったとき、歴史と重ね合わせて「ここで負けを負けと思わずに進めば何とかなる」などと考えていたんですよ。高校時代に影響を受けたのは、岡崎久彦さんの『戦略的思考とは何か』(中公新書)。3、40回は読みましたね。岡崎さんは、歴史的ビジョンを持ち、自分を歴史の中に位置づけるという感覚を大事にしてきた方です。

今の若者には、この考え方が欠けていると感じます。「HISTORY」という単語には「STORY」という言葉が含まれていますよね。ひとつの流れを持つ物語として歴史を見る目を培い、自分と照らし合わせて、「HIS(=彼の)STORY」を踏まえて「MY」「STORY」を作り上げる、そんな生き方をしてほしいですね。

 
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