平日午後の「とっておきアフタヌーン」はサントリーホールと日本フィルのコラボ企画。6月の公演には指揮者・鈴木優人とヴァイオリンの石上真由子が出演。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番とラヴェルの《ツィガーヌ》、メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》を演奏する[6月2日(木)サントリーホール]。
“とっておき”が満載の公演だ。まずは、いくつもの“初めて”。
6月にブラームスのソナタなどを収録したCDを出す二人。
鈴木「でもお客さんの前では初共演なんです」
ブルッフの協奏曲は、石上が子供の頃に一番好きだったという曲だ。
石上「聴き憶えでよく弾いていました。でもソロでなくオーケストラ・パートを(笑)。旋律のラインがしっかりしているので、弾いていてすごく気持ちがいいんです。もちろんソロ・パートも。魅力的なメロディ・メーカーだと思います」
鈴「ごく短い序奏のあとヴァイオリンから始まるので、すぐに石上さんの音が聴けます! ト短調という調性はヴァイオリンがすごく鳴りやすい。ロマンティックな短調で、アフタヌーンというより、昼ドラ悲劇に巻き込まれる感じかもしれません(笑)」
石「美しい第2楽章、快活な第3楽章。ヴァイオリン協奏曲の代名詞のような曲です」
鈴「これを弾かずにプロになるヴァイオリニストはいないんじゃない?」
石「ぎょっ!(笑) 私はプロオケとは初めてです。レッスンでもやらなかったので」
鈴「僕もピアノ伴奏は何度もしたけど、指揮はこれが初めてです」
石「私はソリストとしてサントリーホールに立つのも初めて。楽しみです」
《ツィガーヌ》は石上のとっておき曲。
石「いろんな節目の曲です。CDデビューもこの曲がきっかけ。大阪フィルとの演奏がネットに上がってるんですけど、まだ面識もなかった指揮者の坂入健司郎さんが気に入ってくれて、坂入さんの縁で日本コロムビアから声をかけていただきました」
ナビゲーター役の俳優・高橋克典が《真夏の夜の夢》を朗読するのも、かなりのとっておき。
鈴「克典さんはネットで絵本の読み聞かせをしているんですけど、そのリアル版。シェイクスピアを短くわかりやすくしたものを、音楽と交互に朗読します。序曲以外はなかなか演奏されませんが、今回は物語つきで演奏できる。最後は結婚行進曲でハッピーに。かなり楽しいと思いますよ」
石「私、中学生の時、学校の演劇祭で妖精パック役をやりました!」
鈴「本当? じゃあ出てもらうおうかな(笑)」
(宮本明)