対象外となる治療などの注意点

今回、一般不妊治療、生殖補助医療が保険適用となりましたが、まだ保険がきかない治療も存在します。

治療を受ける夫婦以外の第三者の精子や卵子による人工授精は対象外となっています。第三者の胚の提供、代理母出産も同様です。

これは現行の法律(※3)に基づき、配偶子または胚の提供及びあっせんに関する規制等の在り方などについて国会において議論がされている最中であるため、保険適用に至らなかったようです。

※参考3:法務省|生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律

保険適用のメリット

経済的負担の軽減により妊娠・出産を前向きに考えられる

一番のメリットはやはり、保険適用により経済的負担が減ることです。

今までは、一度の人工授精で目安として1~2万円、体外受精で30~40万円、顕微授精で50~60万円もの治療費がかかっていました(※2)。そこが保険適用になることで3割負担に抑えられるので、治療費の問題で諦めていた夫婦、事実婚カップルは妊娠・出産に対して以前より前向きに検討することができるでしょう。

保険適用のデメリット

保険適用により治療が標準化される

メリットしかないように思える保険適用ですが、実はデメリットもあります。

保険適用となることで、医療が標準化されるということです。今までならお金はかかるものの、個々のケースにあわせた治療を提供できていたところが、保険適用後は全員同じ標準治療が提供されます。

使用できる薬剤の種類や量、回数、必要な検査の回数が保険適用によって制限される場合、その制限の範囲内でできる治療を提供することになります。そのため、結果的に人によっては妊娠の可能性が下がってしまうということもあり得ます。

医療の標準化と安全性が担保されることは良いことでもある一方、保険外となるような最先端の医療や薬剤の導入ができない、または導入が遅れてしまうかもしれない懸念もあります。