ママ友との心の距離がグッと近くなるコツとは?

ーーではまずお聞きしたいのが、ママ友との心の距離がグッと近くなるコツについてです。

ママ友をつくるのがわずらわしいと思う人もいますが、それでも仲良しのママ友ができると心強いですよね。

秀島「そうですね。まず基本中のキホンなのですが、“この人には話しかけても大丈夫”といった空気感を持つことはとても大事だと思います。

年度初めの学校の懇談会などで、“この人だったらお友達になれそう”と思わせてくれるようなやわらかい雰囲気をまとっていらっしゃる方っていますよね。

もし目の前に、ずっとスマホとにらめっこしているママと目が合ってニコッとしてくれるママと2人いたら、どちらに声をかけたいかは、おのずと決まってくるんじゃないでしょうか」

ーーたしかに! スマホを見っぱなしの人には絡みづらいですよね。

秀島「それなんですよ。スマホを見ている方はもしかしたらお仕事なのかもしれないし、緊張しているのかもしれませんが、懇談会が始まる5分、10分前から、言葉を発しない段階から意思表示は始まっていると思うんです」

ーー意思表示とは?

秀島「“私は人と交わりたいです、交われます、オープンです”っていう意思表示。自分だったらこの人には話しかけたいなという人に意識してなってみるのはどうでしょうか。目線を上にあげて、やわらかくいるだけでもそういった雰囲気は出せると思います」

ーー開いているってことですね。

秀島「保護者同士だと、なかなかしょっちゅう会うわけではないですから、最初だけがんばってニコッとしてみる、とか。

一番最初に怖いなこの人って思ってしまったら、その後“こわいバリア”を乗り越えてまでコミュニケーションを取ろうと思ってくれる奇特な人はそうそういないですからね(笑)」

ーー最初が肝心ですね。

秀島「なんのカロリーも使いませんし、社会生活を気持ちよく進める潤滑油。一回身についてしまえば人間関係が楽になりますから」

ネガティブな空気に引っ張られない

ーーママ友にかぎりませんが、人が数人集まるとネガティブなトピックで盛り上がることもたまにありますよね。そういったときにはどうされていますか?

秀島「愚痴や悪口が始まったら、私は存在を消します(笑) それこそ、そういうときは逆にスマホを触ったりします。“ごめーん、仕事のメールで”とか言ってメールチェックをしたり、トイレに行ったり」

ーー徹底して参加しないんですね。

秀島「悪口を言う人って自分の味方を作ろうとしますよね。ひと言でも乗ってしまって“秀島さんもそう言ってたし”とあとから言われるのは避けたいですし」

ーーほんとに。

秀島「なるべくニュートラルな話題に移行します。“暑いから洗濯物よく乾くよねー”とか(笑)」

ーーあまりあってほしくないことですが、ママ友のグループ内でもめたときなどはどうされますか?

秀島「うーん、完全な無党派ですね、私は。ただ、そういうときは“無邪気”でいることがいちばんいいのかな、と思います」

ーー無邪気、道化役みたいな。

秀島「そうですね。夫婦喧嘩とかでも子どもの無邪気なひと言に救われるということってありますよね。場の空気を変える、仕切り直しのきっかけになるようなひと言を言える人って、重宝されると思うんですよ」

ーー秀島さんのご著書に「君ってそんなことも知らないの?」と言われて「はい、私ってそんなことも知らないんです!」って答えたエピソードが載っていて、驚いたのですが、なかなか自分から道化役を演じるのって、普通の人にはプライドが邪魔してできないことだと思うんですよ。徳が備わっていないと。

秀島「いえいえ、そんなことはないんですよ。もしかしたらラジオのお仕事から学ばせていただいたのかな、とは思います。ふっと空気を緩ませられる人が一番強いって思うんですよね。

ラジオの生放送などをやっていると、たまに出演者さん同士の間で空気がピリッとするときがあるんですよ。そういうときに“ちょっとちょっと待って、これみんなで楽しく聴くためのラジオだったじゃない?”というような、空気を抜く言葉を探してるところはありますね」

ーーリスナーの方もほっとする瞬間なのではないでしょうか。

秀島「ちょっと空気が険悪な方にいきそうとなったときに、力学的なものとして、全然関係ないところにしゅっと補助線を引くという感覚でしょうか。そんなひと言をとポーンと投げられたら素敵だな、と思っています」