「どうしても苦手な人」との付き合い方のコツ
ーーそれでも「どうしても苦手だな」という人はいらっしゃいますか?
秀島「以前はいたと思います。今は苦手な人ってそんなにいなくなりましたね。若い頃は、この人はどうしてこういうことを言うんだろうとイラッとしたり、自分の方が正しい、なぜなら…と自分のなかで延々と考えてしまうことも多かったのですが(笑)」
ーーだんだんと距離を取れるようになってきたのでしょうか。
秀島「そうですね。基本、他人と自分は絶対的に違うので、怒っても仕方ないんですよね。たまにいますけどね、マウンティングを取るようなことを言われる人も…ですけど、そういうのって、結局のその方の文化なので」
ーー文化ですか。
秀島「文化、カルチャーですよね。そういった価値観の違いはあるものなので、怒る時間がもったいないと思うようになりました」
ーーマウンティングもカルチャーですか。そういう風にしかコミュニケーションを取れないということですね。
よりよい関係を築きたいなら
ーー子育てをしていると、ちょっとした考えや方針の違いが生じることがあります。ゲームだったり、食べ物に関して、制限をつけているご家庭とそうでないご家庭があったりしますよね。
秀島「ありますね。そういうことは、あくまでも軽く“ごめんごめん、うちはこうなんだー”と伝えます。深刻に言うと、言われた方は責められたような気がしてしまうので、あくまでもサラリと明るく“ご報告までに!”って感じに」
ーーそういう違いを言い合える関係をつくれるといいですよね。
秀島「そうですね。そういったやり取りを重ねていけば、お互いに“この人は伝えればわかりあえるな”と信頼関係を築いていけますし、私もそういう人には言葉を惜しむことはしないので」
ーー遠慮しすぎると、ストレスもたまるし、いいことありませんよね。
秀島「そうですよ、それに相手も“だったら早く言ってよ~”と思っているかもしれませんしね」
ママ友トークの鉄板トピック、またはタブーは?
ーーでは最後に、秀島さん流のママ友トークの鉄板を教えてください。
秀島「無難で誰も傷つけないトピックとしては、やっぱりおいしいごはんのレシピやお店の情報なんかはみんなに喜ばれますよね」
ーー盛り上がりますよね。
秀島「“このレシピおいしかったよ”とか“珍しい食材やちょっと変わった調味料を使ってみたらおいしかった”とか、いろいろ情報交換もできますし。
ママ同士だと子どもがいるので、ライフスタイルもおのずと共通する部分も多いですから、生活の中で持っている悩みも同じなんですよね。“今日の夕飯どうしようか”とか」
ーーそうですよね。子どもに食べさせて、寝させて、っていうのが基本ですよね。
秀島「あとは便利グッズの話題なんかもいいですね。今さらですけど、おにぎり専用アルミホイルって知ってます? おにぎりの水分を吸ってくれて、べたっとしないアルミホイルなんですけど、それを使ってみたらどうだった、とかそんな話題でいいんです。
なんてことない話でも、日頃の生活の地続きなティップスは喜ばれると思います」
ーー逆にタブーは?
秀島「先ほども話しましたが、人の批判や陰口ですね。ほっこりネタはいっぱいあるのに、わざわざネガティブから始めなくてもと思うんです。
ネガティブであっても自虐ネタやトホホな話なら一緒に笑えますし、なにか失敗した時も“今度話せるネタができた!”と前向きになるので大いにアリだと思います」
ーーさすがです。今日はどうもありがとうございました。
秀島さんは、ラジオのイメージ通りのさりげない気遣いに感激しつつ、普段から人との時間を充実させるためのネタを探しているようなふしもあり、トークの現場で長年培われたコミュニケーション力には脱帽でした。
秀島さんの新刊「なぜか聴きたくなる人の話し方」は、人間関係を円滑にするヒントにあふれた一冊です。ぜひお手にとってみてくださいね。
【取材協力】
秀島 史香(ひでしま ふみか)
ラジオDJ、ナレーター。1975年神奈川県茅ヶ崎市出身。慶應義塾大学在学中にラジオDJデビュー。現在FMヨコハマ『SHONAN by the Sea』(日曜朝6時〜)などに出演中。映画、テレビ、CM、アニメのナレーション、美術館音声ガイド、機内放送など多岐にわたり活動している。
著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』『なぜか聴きたくなる人の話し方』(共に朝日新聞出版)