ヴィジュアル系のお客さんは真面目

冬将軍:いわゆる“Zeppの壁”をどう超えるのかに悩んでいるのはどこのジャンルも一緒だと思います。でもコロナ禍になって思ったんですけど、ヴィジュアル系のお客さんって真面目ですよね。声出し禁止やソーシャルディスタンスの順守問題はフェスなんかでよく話題になりましたけど、ヴィジュアル系のライブはみんなしっかり守っていた印象が強い。

藤谷:この夏、HYDEのフェスに関するスタンスも語り草になっていますしね。それ以外でも、バンドやライブハウス側も私の観測範囲内ではコロナ対策に真面目ですよね。今年4月にNoGoDの中野サンプラザ公演に行ったんですけど、ワクチン接種証明が必要だったんですよ。あの規模の会場で接種証明を求められることって他のジャンルではあまりないですよね。えんそくなんて電気通信大学の飛沫の実証実験に協力していましたし。

最初にクラスターが出たのがライブハウスだったから慎重になっている部分もあると思いますし、お客さん同士のよくいえば団結力、悪くいえば同調圧力と呼ばれるものが、いい方向に働いた気もします。

冬将軍:本書ではホコ天を例に挙げたけど、ライブ終わりにファンがゴミ拾いするとか、ファンの素行が悪いとバンドが悪く言われちゃうという意識はヴィジュアル系ファンの多くが強く持っていますよね。偏見や誤解を受けているジャンルだからこそちゃんとしよう、という気持ちを常に持っている。

藤谷:偏見があるからこそ舐められたくない、という意識からくる自浄作用や仲間意識はあったと思います。根本が「バンドに迷惑かけたくない」という動機なので、それ以外の世間の常識的にどうかって話はさておき! バンドへの忠誠心が真面目さに繋がっている……そういう真摯な部分は今も昔も変わらない気がしますね。

最後に本の話に戻りますが、こういうジャンル語りって「○○がない。はい、やり直し」の世界じゃないですか。この本は色々な人に読まれてほしいですね。この本片手にみんなで殴り合い……じゃなかった、議論を交わしたいですね!

冬将軍:それこそ、DEAD ENDとかね。名前は出してるけど語ってはいない。それは復活前のDEAD ENDはヴィジュアル系譜にはいないと私は思っているからで……。

藤谷:ハァ? 何を言っているのかちょっと意味がわかりませんね? ちょっと今度その話、ゆっくり聞かせてもらえませんかねぇ?

冬将軍:もうすでに殴り合いが始まりそうになってるな……。

『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』発売記念イベント

「〈知られざるヴィジュアル系バンドの世界〉の先へ 〜重低音が暴れん坊将軍で黒い薔薇が悪の草〜」
出演者:冬将軍(『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』著者)、伏見瞬(批評家)、藤谷千明(フリーライター)
公演日:2022年11月5日(土)
会場: 東京 新宿・ROCK CAFE LOFT is your room
OPEN/START:18:30/19:00
adv/door:¥1,500/¥2,000(要1オーダー)
※配信予定

・『独壇場B-T〜或いは90's〜 × 知られざるヴィジュアル系バンドの世界 DJ&座談会』
出演者 DJ:浅井博章(FM802)/ DJニッチ(V系イベント【Vニッチ】主催)
ゲスト:冬将軍(『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』著者)
公演日:2022年12月1日(木)
会場: 大阪 南堀江knave
OPEN/START:18:30/19:00
adv/door:¥2,800/¥3,300(+1D ¥600)