6、『ザ・ゴール/ザ・ゴール2』(エリヤフ・ゴールドラット)
全体最適化、制約条件の理論(制約理論)といった生産性などに関する理論を扱っていますが、とある工場を舞台にした小説仕立てなので、それなりに読みやすいです。
トヨタ生産方式もビジネスシーンではよく話題になりますが、同書の制約理論もぜひ押さえておきたい考え方です。
7、『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント)
論理的思考を背景に、説得力のある文章を書くための手法をまとめたもの。
難易度が高いので、まずエッセンスを理解して実践するには、同書の訳者である山崎康司氏の書いた『入門 考える技術・書く技術』を読んでおくのが正解かも知れません。
8、『ビジョナリー・カンパニー/ビジョナリー・カンパニー2』
(ジム・コリンズ)
時代を超えて続く優良企業の事例を紹介し、さらに分析を加えた本。
1作目ではそのような企業に共通する特徴を解説し、2作目ではよくある企業が超優良企業へと変化していく過程を分析しています。
ちなみに3作目では、優良企業がつまらない会社に凋落していく流れが解説されていますが、まずは1~2作目を読んでおくとよいでしょう。
9、『企業参謀』(大前研一)
1975年刊行なので、内容的に古いところもありますが、合理的な戦略思考の初歩を知るには、現在でも十分に使えます。
著者は当時、マッキンゼーの日本支社長。最近目立っている「マッキンゼー出身者本」の源流としての捉え方もできる本です。
10、『プロフェッショナルの条件』
(ピーター・F・ドラッカー)
ドラッカーというと『マネジメント』の印象が強いですが、1冊選べと言われたら、これをオススメしたいです。
ドラッカー本としては比較的自己啓発寄りのため、読みやすいです。11の著作・論文から論点を抽出して、著者が再構成したものなので、本書をとっかかりとして他の著作へ手を出すのにも適しています。
11、『アイデアのつくり方』(ジェームス・ W・ヤング)
同人誌のように薄い本ですが、アイデアづくりのバイブルとして読み継がれてきたタイトルです。
企画系に限らず、どのような職域や業種でもアイデアを捻り出し、形にしていくスキルは求められますから、読んでおきたいですね。
「ここにご紹介した本たちは、働く大人の教養としても、それっぽいビジネストークのためのネタ元としても、とりあえず目を通しておいて損はないものばかり」と漆原氏。今後もしばらくビジネス書ブームは続いていくでしょう。
その中から現在の自分に真に必要なもの、良質なものを選ぶ抜く眼力を持ち、ビジネス書と上手に付き合っていきたいものです。
【プロフィール】
漆原直行氏
1972年、東京都生まれ。編集者、記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中からライター業を開始。トレンド誌や若手サラリーマン向け週刊誌などで取材・執筆活動を展開。ビジネス誌やIT誌、サッカー誌の編集部、ウェブ制作会社などを経て、さまざまな媒体の企画・編集・取材・執筆に携わる。ビジネスからサブカルまで幅広い関心領域を武器に、現在はフリーランスの立場で雑誌やウェブ媒体の制作に従事。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』『ネットじゃできない情報収集術』などがある。