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今年7月、初のベストアルバム『BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]』『BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]』をリリースしたBUMP OF CHICKEN。8月9日には発売を記念して、千葉QVCマリンフィールドにてこちらも初となるスタジアムワンマンライブを開催。3万5000人もの観客を集め、メジャーデビューから約13年、結成から数えると約17年(!)の時を経て、名実ともにシーンを代表するロックバンドとなった。

でも未だに彼らの音楽を聴かず嫌いしていたり、以前ファンだったけどいつの間にか離れちゃった人も、少なからずいるのでは? それ、超もったいない! だってBUMP OF CHICKENはいま過去最高にアブラが乗った、バンドとして絶好調な状態だからだ。

これまでのキャリアを一望できるベスト盤が出た今こそ、新たにBUMP OF CHICKENの音楽と出会うには絶好の機会なのである! ということで、今回は先日のスタジアムライブの模様を振り返りながら、「いまBUMP OF CHICKENが最高な理由」を考えてみたい。
 

以前とは明らかに違う説得力が宿ったライブ

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ラヴェルの名曲『ボレロ』に乗せて升秀夫(ds)が登場。地響きのようなドラムを響かせはじめると、続けて増川弘明(g)と直井由文(b)が姿を現す。夕焼けで淡い赤に染まった空へと突き抜けるようにイントロのアルペジオが鳴らされ、最後にやってきた藤原基央(vo&g)がその声を発する。「Stage of the ground!」。こうしてBUMP OF CHICKEN初のスタジアムライブは幕を開けた。

昔の彼ら(インディーズ~2002年のメジャー1stアルバム『jupiter』あたり)には正直、満足な演奏力があると言いがたい時期もあった。というか初期のバンプのライブに関しては、「ボーカル藤原基央の描く楽曲をメンバーの演奏でともに共有する」、なによりもそのことそのものに大きな意味があった。だから語弊があるかもしれないけどある意味、演奏力の問題は二の次だった。

バンドとファンが互いに命を削るように対峙する彼らのライブはまさに「生の実感」を感じさせてくれるものだったし、ライブでのそんな切迫感が楽曲の世界観をより引き立てている部分すらあった。実際ライブ会場にはボロボロ涙を流す人がたくさんいたし、当時の彼らのライブには「切実な熱狂」みたいなものがあった。