2位と3位は、ともに月曜日に放送されているTBS系の『名もなき毒』と、フジ系の『SUMMER NUDE』。放送前のランキングと現在のランキングでは順位が逆になっているが、支持率はどちらもわずかながら落ちている。
月9の『SUMMER NUDE』の視聴率は、17.4%からスタートしたあと、第2話で12.8%に落ち、第9話までの平均は12.61%と期待通りの数字は残せていない。ネットでの評判も「新鮮味がない」「見ていてイライラする」など散々だ。
ただ、夏の月9の企画としては、そんなに悪くなかったと思う。当初は朝日(山下智久)ー夏希(香里奈)ー波奈江(戸田恵梨香)の三角関係をメインに描くのかと思ったら、朝日ー波奈江ー香澄(長澤まさみ)、波奈江ー朝日ー光(窪田正孝)、光ー波奈江ーあおい(山本美月)、朝日—夏希—孝至(勝地涼)など、いろんな三角形が存在していて、飽きさせないつくりにはなっていた。とくに波奈江の心情は意外と丁寧に描いていたんじゃないだろうか。期待通りの出来ではなかったかもしれないけど、酷評されるほど雑な作品でもなかったと思う。
『名もなき毒』は、5話までの平均視聴率は2ケタを維持していたが、6話以降は1ケタが続いている状態。『半沢直樹』と同じように、2つの原作をひとつのドラマにした作品だが、そのつなぎ方が半沢のようにはうまくいかなかった感じだ。
ただ、小泉孝太郎が演じる主人公・杉村三郎のキャラクターはすごく良かったと思う。その妻で大会社会長の娘・菜穂子(国仲涼子)とともに、おおげさなキャラ設定ではなく、全体を通して見やすくなっていた。
この枠はシリーズ化も可能だと思うので、今回は「誰か Somebody」だけをドラマにしてもよかったんじゃないだろうか。とにかく、この月曜8時枠は、前作の『確証』からつくり方が格段に丁寧になった。視聴率はあまり上がらない時間帯だけど、これからも内容重視でつくり続けて欲しい。
クオリティーはダントツの『Woman』
放送前の期待度ランキングで4位だった『Woman』は、現在のランキングで約1ポイント下げて5位。でも、視聴率は初回の13.9%より第9話のほうが14.9%と高くなっている。
この作品のクオリティーが高いことは、キャストやスタッフをみれば放送前からほぼ確定されていた。問題は、そのクオリティーをテレビが求めているかどうかだ。そういう意味で、この視聴率は大善戦だと思う。
ちなみに、裏番組の『ショムニ2013』の視聴率は、初回こそ18.3%と『Woman』に勝ったが、その後は急落し、8話までの平均は11.48%。これは『Woman』よりも低い数字で、水10対決は『Woman』に軍配が上がった。
『Woman』は、『Mother』に比べればストーリーの引きは弱かったと思う。でも、主人公のシングルマザー・小春(満島ひかり)だけでなく、娘の望海(鈴木梨央)も含め、いろいろなタイプの女性の生き様を緻密に描いていたところは秀逸だった。
なかでも小春の母親・紗千を演じた田中裕子の存在は大きかった。初めて小春が紗千をお母さんと呼ぶシーンは号泣だったな。無駄なセリフはいっさい省きつつも、リアリティのある会話で登場人物の心情を表現していく脚本・坂元裕二の手法は、さらに磨きがかかったようにも思う。暗いドラマは好きじゃないという人も、時間のあるときにDVDでじっくりと見てみるといいかもしれない。