決定打を避ける限り愛情は深くならない

恋愛にあまりいい思い出のないAさんにとって、ふたりの女性に好意を向ける自分について違和感はなく、それは「できれば傷つかず苦労せず、女性といい雰囲気になりたい」「愛される自分が見たい」という欲があるからです。

勇気が出せないのは拒絶が怖いから、「好きならこうするはず」の思い込みが強いのは先に叶えてもらうことで自分の気持ちを決めたいから、受け身を当たり前にしているので「ひとりを真剣に愛する自分」のイメージを掴めていないともいえます。

その状態で「どちらと付き合えるか」を見極めるのは至難の業であり、恋愛関係を人と人の情愛が結びつく貴重なつながりと思っている人ならまずできません。

一対一で心を開くのが恋愛であり、複数の人に好意を向けて「選ぶ」ようなやり方は、人から向けられる情愛を軽く見ているとも感じます。

それは経験のなさ、Aさんが背負ったこれまでの背景から生まれた姿であり、決して責められるものではありませんが、叶わない現実もまたAさんは受け入れる必要があります。

どちらの女性とも仲が進展しないのはなぜなのか、真剣に向き合うべきなのは相手ではなくまず自分の本音です。

「付き合えるかどうか」で異性とのつながりを見るのが悪いとは決して思いませんが、その人と自分はどうなりたいのか、自分はどうありたいのかの本音がわかれば、複数の人に好意を向けることの矛盾に気がつくはずです。

決定打を避ける限り、誰とも愛情は育てられないのですね。