そして、定年を迎えたけれどすぐ嘱託社員として働き続ける話が私に持ち上がり、家事も自分のことだけ考えればいいので息子がいる頃よりずっと気楽で、『このままでもいいか』と思えるようになったのが、離婚をやめた理由です。
何よりうれしいのは自分で使えるお金が以前よりずっと増えたことで、私が嘱託社員になったことも知らない夫は私の買い物に注目することもなく、皮肉だけど穏やかに暮らせています。
今の目標は貯蓄を増やすことで、この先“ひとり暮らし”が大変になったら夫を置いてさっさと老人ホームでも入ろうと思っています。
息子は私たちの状態について『お母さんがいいなら』と納得してくれていますが、子に心配をかけない老後もちゃんと考えていきたいですね」(女性/62歳/公務員)
「子に心配をかけない老後」は自分自身についてだけであり、同居の夫については「どうなろうと興味がありません」と言い切るこちらの女性は、子どもが無事に進学したことで改めて自分の生き方について考えたそうです。
あえて離婚せずとも何とかやっていけるメンタルを持てるのなら、こんな選択肢も十分にありだと感じます。
子が離れたからこそ次は自分の自立、嘱託社員の話はまさに幸運で夫に知られずに働けているのも、仮面夫婦の現実といえます。
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