ファイナンシャルプランナーの筆者は職業柄、お客さまに老後への備えについてヒアリングさせていただく機会があるのですが、お話を伺うと、ほとんどの方が自分の老後に漠然とした不安を感じています。

皆さんも自分が老後を迎えた時、年金なんてもらえないんじゃないかと思っている方も多いのではないでしょうか?

一方、漠然とした老後の不安を感じながらも、実際自分がいくら年金をもらえるのか、それが自分にとって十分な金額なのか、それともいくら足りないのかまで試算されている方はほとんどいません。

おそらく老後がまだまだ遠い未来のことでなかなか自分事としてイメージできないからでしょう。あなたはご自身の老後の生活資金がいくらかかるか試算したことがありますか?

日本は少子高齢化が進んでいるので、このまま若者が減り続けると将来年金が無くなるとか、年金は当てにできないと思っている方も多いと思いますが、日本の公的年金は仕組み上、破綻することはまずありえません。

しかし、私たちの生活が破綻する可能性は十分に考えられます。

「制度は破綻しないのに生活が破綻するってどういうこと??」

この記事でそんな疑問を解消することで、年金に対する漠然とした不安を取り除き、自分事として向き合っていただくきっかけにしていただきたいと思います。

公的年金制度はなぜ破綻しないのか?

一言で答えると、「年金財政が破綻しないようにバランスを取っているから」

この「バランスを取る」というのが実は非常に重要なポイントになってます。

現在の公的年金制度は、2004年の小泉政権時代の年金制度改革がベースとなっているのですが、この制度改革によって年金制度は百年持続可能な、いわゆる「100年安心プラン」 としてスタートしました。

当時新聞でも大々的に取り上げられたので、皆さんの中にも「100年安心」というキーワードが頭に残っている方もいるのではないでしょうか?

しかし本当に年金が「100年安心」なものなら、数年前に騒がれた老後2,000万円不足問題が取り上げられることもなかったし、私たちも未だに漠然とした老後の不安を感じることもないはずですよね。

実は、ここでいう「100年安心」とは、あくまでも年金制度が100年間は持続可能というだけであって、私たちが受け取れる年金額は十分に安心できるものではないと言うことなのです。

つまり、先ほどの「バランスを取る」というのがどういうことかというと、国は、収入(年金保険料等)が少なくなれば収入を越えないように支出(年金給付額)も減らすということです。

支出を減らすということは、年金生活者全体の年金額を減らすということを意味します。

その減らし方は、単純に毎月の年金額を減らすことかもしれませんし、年金の支給開始年齢を遅らせることかもしれません。どんな方法を取るかは今後の日本の年金財政の状況次第ですが、いずれにせよ、年金収入の範囲内で収まるように年金の支給額を抑えるということには変わりありません。

このように、日本の公的年金制度は、年金財政の収支を調整する仕組みとなっているため制度が破綻することは考えにくいのです。

詳細は「厚生労働省:いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~」をご確認ください。